形と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/16 07:54 UTC 版)
先に述べたように、投げゴマにもさまざまな種類があり、形態も一定ではない。いくつかの代表的なもののみについて述べる。 すべてに共通する特徴としては、胴体下面が逆円錐形、あるいはそれに近い曲面になっていることであろう。この面に下から紐を巻き付けて行く。普通はその頂点から軸が突き出すが、軸が突き出す形ではなく、胴の先端付近がくびれたものもある。いずれにしても、その部分が紐を巻く際の起点になる。また、ベーゴマのように突き出さないものもある。その場合は、紐の巻き方に特別の工夫がいる。 日本で最も普及している投げゴマは、子供のおもちゃとして駄菓子屋に並べられていたものである。若干の違いはあるが、基本的な形態は共通している。本来、材質には木が使用されるが、ブリキやプラスチックも近年では使われる。胴は平らな円筒形。上面は平坦かやや中央がくぼむ。同心円の隆起や溝が掘られ、その部分を色違いにしたものも多い。下面は浅い逆円錐形。中心を鉄芯が貫き、上には少し、下には胴体より長い程度に突き出て、先端はやや丸くなっている。回転の勢いをつけるためと、喧嘩用に側面に鉄の輪をはめたものもあり、鉄胴ゴマと呼ばれる。ただし、これらの玩具としての投げゴマの普及率は、平成に入って急激に下降している模様。 日本では投げゴマは上記のような形を主として、円筒か逆円錐の胴を軸が垂直に貫く形をしているものが多い。郷土玩具の投げゴマは、たいていはこの形である。ただし軸も木で出来ている。また、大山ゴマは全体が木でできている。胴体はどんぶり型、下には太い木の芯が突き出る。ズグリゴマはやや平らなお椀型で上面は大きくお椀形にくぼむ。下からは木の芯が出るが、その先端が大きく丸く広がるのが特徴である。これは、青森の独楽で、雪の上で回すための工夫である。上面も下面と同じような曲線を描く、凸レンズ型のものもある。マレーシアのガシンは有名な投げゴマであるが、やや偏平ながら、これに類する形である。 九州にはこのような形から大きく外れた投げゴマが何種もあるが、それらはおおよそ楕円形で、下側に逆円錐に尖った大抵は縦長の木の胴体を持ち、下側の端にクギを打ち込んだような形をしている。特に佐世保独楽が有名である。ヨーロッパの投げゴマもこれに近い形をしている。大抵は上面が丸く、下に逆円錐にとがり、下端に短い軸が打ち込まれている。このような形の投げゴマは、日本以外ではむしろ標準的なもののようである。これらはぶちゴマの形を強く残したものとも考えられる。
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