形の変容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 07:05 UTC 版)
「形の変容」について、「形」は非物質的な記憶媒体であるため、数百年あるいは数千年にもわたって変化せず継承される可能性を有していることは事実である。しかしながら実際には、情報技術が未発達な前近代であったこともあり、その伝承の正確性は伝承者の記憶や解釈に委ねられてしまい、形が変容することは不可避に等しかった。 しかし、形稽古において、内容の細かな変化は決してその趣旨を崩壊させるものではない。形稽古において最も重要なのは、その流儀や形が伝える本質を見抜くことである。いわば、形が一部始終全く変化せずに継承されていようとも、その本質が見抜かれていなければ、それは前項の「形骸化」に同じであり、形稽古の趣旨は崩壊し、形は劣化していくことになる。ただし、「内容の細かな変化は重要ではない」と言えるのは、歴代伝承者が皆、その流儀や形の本質を理解している「真の伝承者」であったことが前提でなければならないことには留意である。 また、形から無駄が削ぎ落とされ、技術が研ぎ澄まされる(形の本質が明瞭となる)ためには、伝承してきた先人らによる内容の取捨選択がなければ難しく、ここにおいても形の変容は許容されていたことになる。ただし、その選択は同じく卓越した者(真の伝承者)によって行われなければ、無意味であるどころか、形稽古の趣旨自体の崩壊に繋がることも事実である。
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