建造の経緯とその影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/01 09:12 UTC 版)
「ソブリン (客船)」の記事における「建造の経緯とその影響」の解説
1970年代には2万トンクラスで営業していた各クルーズ会社であったが、1980年代にもなると船の大型化を模索。NCLで当時、係留されていたオーシャンライナー「フランス」を購入、「ノルウェー」と改名として営業に投入、これがメガシップ化の嚆矢であった。これに続いてロイヤルカリビアンも4万トン級のソング・オブ・アメリカを投入、カーニバルも5万トクラスを立て続けに導入、大型化の機運が高まっていた中、7万トンを超えるクルーズ客船として初めて建造されたのがソブリンであった。 ソブリンはその当時、世界最大というキャパシィと絢爛豪華な内装で好評を博し、カリブ海クルーズの乗客数を倍増。そして、ソブリンの投入によって、船を大型化すればするほど乗客1人当たりの建造単価や動力費、人件費などのコストが減り、収益を倍増させることが出来ることが判明した。しかし、現場では船の大型化への迷いもあり、メガシップの建造計画での対応が各社の命運を左右することとなる。 NCLは大型化への先鞭をつけたにも関わらず、4万クラスで船隊を整備 ロイヤルカリビアンはソブリンの4年後にモナーク・オブ・ザ・シーズを建造。同社首脳も「7万トンクラスよりも、一回り小さいサイズが良いのではないか」と発言。後にメガシップ建造に転換。 カーニバルは7万クラスのファンタジー級を大量に建造。 その結果、1999年第1四半期の経営収支は 会社名 売り上げ 利益 利益率 カーニバル 7億4800万ドル 1億5800万ドル 0.21 ロイヤルカリビアン 6億1000万ドル 9000万ドル 0.15 NCL 1億9800万ドル 100万ドル 0.005 スタークルーズ 8800万ドル 1600万ドル 0.18 迷わずメガシップ化に踏み切ったカーニバルが世界最大のクルーズ会社になる一方、メガシップ化の流れを無視したNCLはカーニバルの利益とほぼ同額程度にしか売り上げることが出来なかった上に利益率も悪化、後に後発のスタークルーズの傘下になってしまう。ソブリンを建造したロイヤルカリビアンは途中からメガシップ建造に踏み切ったためNCLのような没落を免れたが、プリンセス系列の買収競争でカーニバルに敗れたこともあって業界2番手の座を強いられることとなった。 (この項目の出典は『世界の艦船』2000年2月号 No.564)
※この「建造の経緯とその影響」の解説は、「ソブリン (客船)」の解説の一部です。
「建造の経緯とその影響」を含む「ソブリン (客船)」の記事については、「ソブリン (客船)」の概要を参照ください。
- 建造の経緯とその影響のページへのリンク