廃車の背景-昇圧対応不可能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/09 08:32 UTC 版)
「南海2001形電車」の記事における「廃車の背景-昇圧対応不可能」の解説
1960年代に至り、南海線の昇圧が検討されるようになると、モハ2001形の大出力は(さながら巨大化した恐竜のごとく)却ってその寿命を縮める一因となった。 本形式の主電動機は、端子電圧600Vで定格出力150kWを実現するために極限に近い設計が施されており、昇圧工事は非常に困難であった。また、仮に絶縁強化等を行ってこのまま昇圧できたとしても、端子電圧750V時の定格出力が187kW≒250馬力、という過剰性能となってしまい、メンテナンスコストを考慮するまでもなく、そのまま昇圧工事を実施するのは不経済に過ぎた。当時日本の電車用モーターで最強を誇った初代新幹線電車(0系)用モーターであるMT200が定格出力185kWであったことからも、昇圧改造した場合のオーバースペック振りが伺える。 モハ2001形は、1970年7月まで南海本線で使用された後、新造の7100系に代替廃車された。またモハ2051形は主電動機交換を、モハ12001形は電装解除をそれぞれ実施された。 こうして、1973年10月に実施された南海本線の架線電圧1,500V昇圧までに、2001形由来の200馬力級主電動機はすべて廃棄されている。 同時期の関西私鉄が建造した他の大出力大型電車にも共通することだが、自重が重く変電所にも負担になる本形式を譲受しようという地方私鉄は現れなかった。ほとんど全車が廃車→解体の道を辿っており、唯一さやま遊園に保存されたモハ2001(旧モハ2006)も結局1975年頃に解体処分されている。 クハ2851形は1962年にペアをモハ1501形(国鉄モハ63形割り当て車)に換えるようになり、以後モハ2001形とは別の変遷をたどった。モハ1501形が全廃となった後の1968年には、廃車からの電装品により電動車化、室内を改装の上モニ1045形(1045,1046)となり南海本線の荷物列車に使用された。荷物輸送は1973年6月廃止となり、モニ1045形は同年10月23日付廃車となった。
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