広義の憲法改正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:35 UTC 版)
政治学者の待鳥聡史教授(京都大学)は、実質的意味の憲法とは実質的な基幹的政治制度を定める諸ルールのことであることから、基幹的政治制度の変革が実質的意味の憲法の改正であると指摘している。なお、基本的人権に関する記述については、政治学的分析という観点からはあまり大きな意味を持たないことや、先進諸国において基本的人権を否定することに現実性がないことをあわせて指摘している。このことから、選挙制度(議席決定方法、選挙区定数、投票方法、選挙サイクル)、執政制度(大統領制・半大統領制・議院内閣制の間での変化、執政長官に与えられる権限等の大きな変化、政治家と官僚間の権限等の変化)のいずれかの変化を実質的意味の憲法改正とみなすことを提唱し、1990年代から2000年代にかけての政治改革を日本における憲法改正として分析している。憲法改正をこのようにとらえる視点は、国際的には憲法やその改正についての多様な状況があることを前提とすると、憲法改正について国際比較や時系列比較をする上で有益であろうとしている。 ブルース・アッカーマン教授は、アメリカ合衆国における1930年代のニューディール政策や1960年代の公民権運動などを取り上げ、これらの成果が法律の制定として結実した後も正式の改憲手続きを経ない「インフォーマルな憲法改正」であったことを主張し、正規の憲法改正という形式を重視して投票権法 (1965年)の一部を無効とした判決を批判している。なお、アッカーマンにおいては憲法改正権と憲法制定権の区別はなく、「立憲政治(constitutional politics)」における人民の判断には限界がない。
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