広義の暴力と構造的暴力とは? わかりやすく解説

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広義の暴力と構造的暴力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 17:20 UTC 版)

構造的暴力」の記事における「広義の暴力と構造的暴力」の解説

構造的暴力という用語は、1969年ノルウェー人平和研究ヨハン・ガルトゥング提唱したガルトゥング論文暴力・平和・平研究」において、望ましい、追求すべき目標としての平和概念作るために、その反対である暴力概念大きく広げようとした。 狭い定義では、力を直接行使して他人肉体損傷させることだけが暴力となるが、その場合、たとえば威嚇によって間接的に人に危害与えるのは暴力含まれない間接的な危害常態化たような社会維持を、望ましい平和として追求するわけにはいかない。その種の様々な疑念払拭できるように大きく拡張したのが、「ある人にたいして影響力が行使された結果、彼が現実的に肉体的精神的に実現しえたものが、彼のもつ潜在的実現可能性を下まわった場合、そこには暴力存在する」という暴力の定義である。 構造的暴力は、ガルトゥングがこの暴力様々な側面から分類した中の一つで、もっとも著名なのである構造的暴力とは、暴力行為する主体存在しないような暴力である。たとえば、不平等な社会において、貧困のせいで人の生存危ぶまれている場合危害与えている人を名指しすることはできないが、構造的暴力がある。ガルトゥング行為主体がいない暴力構造的暴力または間接的暴力行為主体がいる暴力個人的暴力または直接的暴力呼んだガルトゥング集団的大規模な暴力までも個人的暴力と呼ぶが、その用法普及せず、諸学者が構造的暴力と対にするのは直接的暴力である。 構造的暴力は、平和のための研究実践立ち向かうべき課題明らかにするために作られ概念であり、因果関係直接示すものではない。たとえば、直接的暴力はすべて構造的暴力根ざしているとか、構造的暴力解決のほうが直接的暴力除去より重要だ、といった結論導き出せない。その逆に直接的暴力のほうが構造的暴力より重大だといった主張正しくない重要性軽重因果関係個別的には当然あるが、殴り合いから核戦争まで含む直接的暴力と、政治的抑圧から経済的不平等まで含む構造的暴力を、全部まとめてどちらが上か下かと論じるのは無理というものである

※この「広義の暴力と構造的暴力」の解説は、「構造的暴力」の解説の一部です。
「広義の暴力と構造的暴力」を含む「構造的暴力」の記事については、「構造的暴力」の概要を参照ください。

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