平面波基底とは? わかりやすく解説

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平面波

(平面波基底 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 11:00 UTC 版)

平面波(へいめんは、: Plane wave[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12]とは、等位相面が波数ベクトルを法線ベクトルとする等値平面から成る周期関数のことである。

平面波の定義

平面波と呼ばれる関数には、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」がある。「時間変数を持たない平面波」は、周期関数のフーリエ級数展開や、フーリエ変換、時間発展のないシュレーディンガー方程式の計算に用いられる。「時間変数を持つ平面波」は、波動方程式の解として現れる。

通常、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」は、区別されずに混同されて用いられるが、異なるものなので、曖昧さを回避する観点から区別が必要な場合には、用語を使い分けることにする。それぞれの用語の定義は以下に行う。

また、本稿では、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」の総称として「平面波」という用語を用いることにする。

時間変数を持たない平面波

実数または複素数に値を取る d 変数関数 Ψ が時間変数を持たない平面波であるとは、周期 2π の実1変数の周期関数 f と、波数ベクトルと言われる d 次元実定数ベクトル k(但し k0)を用いて、

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2017年5月

波動関数は、基底関数で展開した形で記述することができる。この時に用いられる基底の1つに平面波基底(: Plane wave basis)がある。バンド計算における表式化が比較的簡単で(それ故、プログラムも構築し易い)ストレスの計算も他の基底(局在基底など)を使った場合より容易に実現が可能である。また、平面波基底では、Pulay補正項の問題が回避できることも利点のひとつである。

欠点として、例えば波動関数電荷密度への寄与の s, p, d 軌道毎への分割や、ユニットセル内の特定の原子電荷を求めることが困難になることが挙げられる。

脚注

注釈

  1. ^ 文献によっては最初の成分を時間変数にする場合もある。

出典

  1. ^ 青本 和彦, 他 編『岩波 数学入門辞典』岩波書店、2005年。 
  2. ^ 溝畑 茂『偏微分方程式論』岩波書店、2002年。 
  3. ^ 金子 晃『偏微分方程式入門』東京大学出版会、1998年。 
  4. ^ アシュクロフト; マーミン 著、松原 武生, 町田 一成 訳『固体物理の基礎 上・1 固体電子論概論 (物理学叢書 46)』吉岡書店、1981年1月。 
  5. ^ チャールズ キッテル 著、宇野 良清, 新関 駒二郎, 山下 次郎, 津屋 昇, 森田 章 訳『キッテル 固体物理学入門』(8版)丸善、2005年12月。 
  6. ^ 田中 信夫『電子線ナノイメージング―高分解能TEMとSTEMによる可視化 (材料学シリーズ)』内田老鶴圃、2009年4月。 
  7. ^ 今野 豊彦『物質からの回折と結像―透過電子顕微鏡法の基礎』共立出版、2003年。 
  8. ^ 日本表面科学会 編『ナノテクノロジーのための表面電子回折法 (表面分析技術選書)』丸善、2003年3月。 
  9. ^ 『物質科学のための量子力学』三共出版、2002年11月。 
  10. ^ 塚田 捷『物性物理学 (裳華房フィジックスライブラリー)』裳華房、2007年3月25日。 
  11. ^ 小口 多美夫『バンド理論―物質科学の基礎として (材料学シリーズ)』内田老鶴圃、1999年7月。 
  12. ^ ファインマン 著、富山小太郎 訳『ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動』(新装)岩波書店、1986年2月7日。 
  13. ^ 清水明『量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために―』(新版)サイエンス社〈新物理学ライブラリ〉、2004年4月。ISBN 4-7819-1062-9 
  14. ^ 北野正雄『量子力学の基礎』共立出版、2010年1月。 ISBN 978-4-320-03462-4 

関連項目


平面波基底

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 19:05 UTC 版)

基底関数系 (化学)」の記事における「平面波基底」の解説

量子化学計算には、局在基底系の他に平面波基底も用いられる平面波では基底増やすほど精度よくなるが、通常はあるカットオフエネルギー以下の有限数の平面波用いられる。この基底周期的境界条件課せられた系についての計算によく用いられる特定の積分は平面波基底を用いることにより局在基底比べて実装計算はるかに簡単になる実用上、平面波基底は有効ポテンシャル、別名擬ポテンシャルと共に用いられることが多い。これを用いることで価電子密度計算のみを平面波用いて行うことができる。これは、コア電子原子核周り集中していることが多く波動関数勾配電子密度勾配大きくなるために平面波表現するには波長の短い平面波が必要で、カットオフエネルギーを非常に高くなければならないからである。平面波基底と擬ポテンシャル用い手法はしばし略してPSPW計算呼ばれる。 その上、平面波基底には全ての基底関数互いに直交するため、基底関数重なり誤差生じないという利点がある。しかし、この基底気相計算には向いていない。高速フーリエ変換用いると、運動エネルギー積分などの前述積分だけでなく、その微分も平面波基底の逆格子空間上で容易に計算できるうになるさらなる平面波基底の利点として、この基底変分計算用いると目的波動関数単調かつ滑らかに収束することがあげられる対してガウス基底場合単調な収束し保証されないcorrelation-consistent基底系例外)。フーリエ変換特性により、全エネルギーを各平面波係数微分した勾配表わすベクトル計算するのに必要な計算量は、NPW平面波の数としてNPW*ln(NPW) のオーダースケールすることがわかる。この性質と、Kleinman-Bylander型の分離型擬ポテンシャルおよび前処理付き共役勾配法組み合わせて用いると、数百原子を含む周期系の動的シミュレーションが可能となる。

※この「平面波基底」の解説は、「基底関数系 (化学)」の解説の一部です。
「平面波基底」を含む「基底関数系 (化学)」の記事については、「基底関数系 (化学)」の概要を参照ください。

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