等位集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 08:56 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動数学における等値集合または等位集合(とういしゅうごう、英: level set)は、与えられた写像が決められた値を取るような定義域に属する元全体の成す集合を言う。例えば、n-変数の実数値函数 f に対し、実数値 c に対する等位集合は
-
函数 f のグラフを山に見立てて考えると、青の曲線群は等高線を示しており、また赤の曲線群は勾配方向に沿って伸びる。
この結果は重要である。これを理解するために、山の同じ位置にいる二人の登山者を以下のように想定しよう。一方は無鉄砲な性格で、勾配の最も急峻な方向をたどって山頂をめざすものとし、他方は用心深い性格で、滑落せずに景色を望むために高度を保って進む道を選んだとする。そうすると、この喩話において上記の定理は「二人の登山者の路程は、初期位置において直交する」ことを述べるものになる。
証明はさほど難しくない。一点 x0 を固定して、この点を通る等位線 {x | f(x) = f(x0)} を考える。適当な助変数 t を導入して、この等位線を x(t) かつ x(0) = x0 なるように書けば、
を満たす。t = 0 のとき、この両辺を(合成函数の微分公式に従って)微分して
が得られるが、この場合 x0 におけるヤコビ行列 Jf は f の x0 における 勾配で与えられるので、
と書いても同じことである。従って、f の x0 における勾配は、x′(0) において接線(およびこの点を通る等位線)と直交する。曲線 x(t) は任意に選んだのであるから、勾配は等位線と直交する。
この定理からの帰結として、直線が(より正確には多様体あるいは可微分超曲面でない)等位線と交わるならば、その勾配は各交点において消える。従って、任意の交点は臨界点である。
関連概念
等位集合と関連して、
なる形の集合を f の劣位集合または下位集合 (sublevel set, lower level set[5]) あるいは溝 (trench) と言い、同様に
は f の優位集合または上位集合 (superlevel set) と言う。
- 凸函数の劣位集合は凸集合になる(が、逆は必ずしも成り立たない)。
等位集合は f−1(c) とも書けるから、ファイバーの特別な場合と考えることができる。
参考文献
- ^ Voitsekhovskii, M.I. (2001), “Level set”, in Hazewinkel, Michiel, Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- ^ Weisstein, Eric W. "Level Set". MathWorld (英語).
- ^ Weisstein, Eric W. "Level Curve". MathWorld (英語).
- ^ Weisstein, Eric W. "Level Surface". MathWorld (英語).
- ^ Definition:Lower Level Set at ProofWiki
関連項目
- 陰伏曲面(陰函数曲面)
- 等位面
- 上グラフ(エピグラフ)
- 等高面法 (LSM)
- Level set (data structures)
外部リンク
- Weisstein, Eric W. "Level Set". MathWorld (英語).
- level set - PlanetMath.(英語)
- Voitsekhovskii, M.I. (2001), "Level set", in Hazewinkel, Michiel (ed.), Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4。
- level set in nLab
等位集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/05 14:41 UTC 版)
「勾配 (ベクトル解析)」の記事における「等位集合」の解説
「等位集合」も参照 f が可微分であるとき、点 x における勾配とベクトル v とのドット積 (∇f)x ⋅ v は x における f の v 方向への方向微分を与える。従ってこの場合、f の勾配は f のすべての等位集合と直交する。例えば、三次元空間における等位面は F(x, y, z) = c なる形の方程式で定義され、そして F の勾配はこの面の法線族となる。 より一般に、リーマン多様体に埋め込まれた任意の超曲面は F(P) = 0(ただし dF は至る所零でない)の形の方程式に表すことができて、F の勾配はこの超曲面の法線族になる。 一点 P において関数 f を考えるとき、この点 P を通る曲面を描き、この曲面上の各点で関数が同じ値を取るものとすれば、この曲面は「等位面」と呼ばれる。
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