ポアンカレ定数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 09:21 UTC 版)
ポアンカレ不等式における最適な定数 C は、領域 Ω に対するポアンカレ定数(Poincaré constant)としても知られる。ポアンカレ定数を決定することは、一般には p の値と領域 Ω の形状に依存する非常に難しい問題である。しかし、いくつかの特別な場合では決定することが出来る。例えば、Ω をある有界かつ凸なリプシッツ領域で、その直径は d であるとすると、ポアンカレ定数は p = 1 に対しては高々 d/2 であり、p = 2 に対しては高々 d 2 / π 2 {\displaystyle \scriptstyle {d^{2}/\pi ^{2}}} である(Acosta & Durán 2004; Payne & Weinberger 1960)。またこれは、直径のみに関するポアンカレ定数の最適な評価である。滑らかな函数に対しては、この問題は函数の等位集合に対する等周不等式の応用として捉えることが出来る。 しかしいくつかの特別な場合では、定数 C は具体的に決定することが出来る。例えば p = 2 の場合、単位直角二等辺三角形の領域に対しては C = 1/π( < d/π。ただし d = 2 {\displaystyle \scriptstyle {d={\sqrt {2}}}} )であることが知られている(例えば Kikuchi & Liu (2007) を参照)。 さらに、滑らかな有界領域 Ω {\displaystyle \Omega } に対して、空間 W 0 1 , 2 ( Ω ) {\displaystyle W_{0}^{1,2}(\Omega )} におけるラプラス作用素のレイリー商は、(負の)ラプラシアンの極小固有値 λ1 に対応する固有函数によって最小化されるため、任意の u ∈ W 0 1 , 2 ( Ω ) {\displaystyle u\in W_{0}^{1,2}(\Omega )} に対して | | u | | L 2 2 ≤ λ 1 − 1 | | ∇ u | | L 2 2 {\displaystyle \displaystyle ||u||_{L^{2}}^{2}\leq \lambda _{1}^{-1}||\nabla u||_{L^{2}}^{2}} が成立することは簡単な帰結である。さらにこの定数 λ1 は最適なものである。
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