等位構造制約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 10:10 UTC 版)
等位構造制約 (英: Coordinate Structure Constraint, CSC) とは、Ross (1967)により提唱された、等位項 (英: conjunct) あるいは等位項内の一部を移動してはならないとする制約である:131。 ( ) a. *What sofai will he put the chair [between some table and ti]?:158 ( ) b. *What tablei will he put the chair [between ti and some sofa]?:158 なお、補足として、両方の等位項からの抜き出しがある場合は、非文は導かれない。 ( ) I wonder which booksi [Mary hates ti] and [Sam likes ti].:7 このような抜き出しは、全域的抜き出し (英: across-the-board (ATB) extraction) と呼ばれる:7。一方で、提案者であるRoss自身、等位構造制約には例外があることを言及している。その代表例が、能動文と受動文の間の等位接続である。 ( ) a. The girlsi will [write a book] and [be awarded ti a prize for it].:204 ( ) b. Marthai [asked for red wine] and [was given ti white].:204 Perlmutter (1978)が非対格仮説 (英: unaccusative hypothesis) を提案して以降、受動文の表層主語は他動詞の目的語位置に基底生成され、主語位置に移動することで派生されると考えられている。このため、(15) に示すように、能動文と受動文からなる等位構造は、片方の等位項内からの構成素の移動が関連していると考えられ、等位構造制約にとって大きな問題となる:204-205。しかし、動詞句内主語仮説を採用した場合、VP等位項からのATB抜き出しとしてこの事実を包括的に説明することが可能となる。 ( ) a. The girlsi will [VP ti write a book] and [VP ti be awarded ti a prize for it]. ( ) b. Marthai [VP ti asked for red wine] and [VP ti was given ti white]. その他のさらなる証拠については、McCloskey (1997)などを参照のこと。
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