勾配との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 08:56 UTC 版)
函数 f のグラフを山に見立てて考えると、青の曲線群は等高線を示しており、また赤の曲線群は勾配方向に沿って伸びる。 定理 各点における f の勾配は、その点を通る等位線と直交する。 この結果は重要である。これを理解するために、山の同じ位置にいる二人の登山者を以下のように想定しよう。一方は無鉄砲な性格で、勾配の最も急峻な方向をたどって山頂をめざすものとし、他方は用心深い性格で、滑落せずに景色を望むために高度を保って進む道を選んだとする。そうすると、この喩話において上記の定理は「二人の登山者の路程は、初期位置において直交する」ことを述べるものになる。 証明はさほど難しくない。一点 x0 を固定して、この点を通る等位線 {x | f(x) = f(x0)} を考える。適当な助変数 t を導入して、この等位線を x(t) かつ x(0) = x0 なるように書けば、 f ( x ( t ) ) = f ( x 0 ) = c {\displaystyle f({\mathbf {x} }(t))=f({\mathbf {x} _{0}})=c} を満たす。t = 0 のとき、この両辺を(合成函数の微分公式に従って)微分して J f ( x 0 ) x ′ ( 0 ) = 0 {\displaystyle J_{f}({\mathbf {x} _{0}}){\mathbf {x} }'(0)=0} が得られるが、この場合 x0 におけるヤコビ行列 Jf は f の x0 における 勾配で与えられるので、 ∇ f ( x 0 ) ⋅ x ′ ( 0 ) = 0 {\displaystyle \nabla f({\mathbf {x} }_{0})\cdot {\mathbf {x} }'(0)=0} と書いても同じことである。従って、f の x0 における勾配は、x′(0) において接線(およびこの点を通る等位線)と直交する。曲線 x(t) は任意に選んだのであるから、勾配は等位線と直交する。 この定理からの帰結として、直線が(より正確には多様体あるいは可微分超曲面でない)等位線と交わるならば、その勾配は各交点において消える。従って、任意の交点は臨界点である。
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