巧妙な仕掛け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 19:34 UTC 版)
映画の序盤でゲーリッグ少年が放った打球がお店のガラスを割ってしまうシーンがあるが、よく観てみると相手投手はボールを投げておらず、少年はバットを振るだけで、打球が画面左下から突然、ものすごい勢いで放たれるという仕掛けがされていることがわかる。 ゲイリー・クーパーは本作品の出演が決まるまでバットを触ったことがなければ、ゲーリッグのような左利きではなくて右利きだった。小さいころから乗馬をたしなみ、狩猟、フライ・フィッシング、スキーを生涯を通じての趣味とし、大学時代には美術を専攻してスポーツとはおよそ無縁の生活を送った。クーパーは映画の撮影に入る前に、当時頭角を現してきていたテッド・ウィリアムズに連絡を入れて彼から左打者としての感覚を教えてもらい、バッティング技術顧問のレフティ・オドールの下で選手並みの猛特訓を受けた。ところが、そのオドールにも「ボールを投げるのも、おばあさんが熱いビスケットを投げるよう」なクーパーにバッティングを教えるのは無理なことだとわかった。複数の情報源は彼が説得力のある左打者のスイングを習得できなかったため、ダニエル・マンデルのアイディアで左右逆のユニフォームを着用して右で打ち、三塁へ走ったと伝えている。審判員の服、他の選手のユニフォーム、球場の看板文字も含めてすべて逆さにして撮影したという。そうして撮影したフィルムを裏返して焼き付ければ、右打者を左打者に見せることができる。アメリカ野球殿堂博物館学芸員のトム・シーバー(同名の殿堂入り選手とは別人)はこの定説に関して詳しく調べた結果、クーパーは実際に左利きのスイングで練習しており、左右逆のヤンキースのユニフォームを着用しておらず、三塁へも走っていないとの見解を示している。ただし、左投げからの送球に関しては困難であったために、ベーブ・ハーマンがクーパーの代役を務めた。
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