尿中有形成分分析(尿沈渣フローサイトメトリー法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 20:50 UTC 版)
「尿沈渣」の記事における「尿中有形成分分析(尿沈渣フローサイトメトリー法)」の解説
尿沈渣は遠心を含む煩雑な操作が必要であるが、遠心操作なしにフローサイトメトリー原理により尿を直接検査する方法もある。保険点数表では「尿沈渣(フローサイトメトリー法)」とされているが、その検査機器は尿中有形成分分析装置と呼ぶのが一般的である。尿中有形成分分析は、精度的には鏡検法の代替手段とはならないが、マンパワーを節約するため、スクリーニングとして尿中有形成分分析を行い、それで異常が疑われた場合のみ、鏡検法で尿沈渣を実施する施設も多い。 報告可能な項目は機器ベンダ/装置により異なる。 基準値も全国で標準化されたものはないが、シスメックス社のUF-100の基準値(上限値)を以下の表に示す。 尿中有形成分分析の基準値(上限値). 単位:個/μL項目全体男性女性赤血球 10.5 9.9 21.2 白血球 10.5 10.4 15.4 上皮細胞 6.2 3.7 9.0 円柱 0.96 0.99 0.63 細菌 2371 1945 3309 なお、有形成分分析の定量値の単位は /μLであるが、/HPFに換算して報告している場合もある。 赤血球血尿診断ガイドライン2013では、20/μL以上を血尿と定義している。 有形成分分析装置は、赤血球の粒度分布を計測して糸球体型か非糸球体型か推定する機能を持つのが通常である。沈渣と異なり、一つ一つの赤血球の形態ではなく、容積やその分布を見ている。 遠心分離尿の上清には若干の変形赤血球が残存しているので、沈渣よりも有形成分分析の方が多めに出る可能性がある。 白血球1μL中に10 個以上が有意な膿尿と考えられる。 白血球では遠心分離尿の上清への残存はほとんどなく、沈渣との不一致は少ないと考えられる。 上皮細胞上皮細胞は遠心分離尿の上清への残存はほとんどなく、沈渣との不一致は少ないと考えられる。 円柱一般に、尿中有形成分定量では沈渣よりも円柱が多めになるが、理由はあきらかでない。(遠心しないため、円柱が破壊されないとも言われる) 結晶機械内部で測定時に尿を希釈液で希釈し染色加温するため、無晶性のリン酸塩・尿酸塩は溶解し、沈渣と不一致となる。 細菌尿路感染症のカットオフ値105/mLに対応するのは100/μLである。 細菌も遠心分離尿の上清への残存が見られ、沈渣との乖離が考えられる。 尿定量培養と乖離した多数の菌が報告される場合がある。これは、有形成分分析装置では、培養困難な菌を検出しているためと考えられる。
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