小細胞肺癌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:52 UTC 版)
小細胞肺癌は肺癌の20%程度を占める。喫煙との関連性が大きいとされ、中枢側の気管支から生ずることが多い。悪性度が高く、急速に増大・進展し、またリンパ行性にも血行性にも早いうちから脳などの他臓器に転移しやすいため、発見時すでに進行がんである事が多い。がん遺伝子としては L-myc が関わっている。免疫染色によるマーカーの同定や電子顕微鏡撮影により、カルチノイドなどと同じく神経内分泌上皮由来であることがつきとめられている。診断時に既に転移が見られることが多いため、化学療法、放射線療法が行われることが多い。放射線療法、化学療法に対して比較的感受性があるものの、多くは再発するため予後はあまり良くない。しばしばランバート・イートン症候群(Lambert-Eaton syndrome; LEMS)などの傍腫瘍症候群を合併する。血液検査では、ProGRPや神経特異的エノラーゼ (NSE) が腫瘍マーカーとなる。時に副腎皮質刺激ホルモンや抗利尿ホルモンなどのホルモンを分泌することがあり、クッシング症候群や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH) の原因となる。
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小細胞肺癌(SCLC)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:52 UTC 版)
小細胞肺癌は発育が早いため、発見時にはほとんどが進行性である場合が多い。また、CTなどの画像検査上限局しているように見えても検出できない程度の微少転移が既に存在していることがほとんどである。そのため手術や放射線療法などの局所治療の効果は極めて限定的であり、化学療法が治療の中心となる。治療方針の違いにより病期は2つに分類される。 小細胞肺がんの病期分類病期分類所見治療方針限局型 (Limited disease: LD) 病巣が片側肺に限局している 反対側の縦隔および鎖骨上窩(じょうか)リンパ節までに限られている 悪性胸水および心嚢水がみられない リンパ節、周囲臓器への浸潤及び転移が認められない Stage Ia期のみ手術療法が検討されるが、その時期で発見される場合は少ない。その他の場合は化学療法+胸部放射線療法を同時併用する。奏効例に対しては脳転移再発予防のため予防的放射線全脳照射(prophylactic cranial irradiation; PCI)が行われる。 進展型 (Extended disease: ED) 「限局型」の範囲を超えてがんが進んでいる 根治的放射線治療の適応は無く全身化学療法(以下が主なレジメン)が主な治療となる。PE療法:CDDP(シスプラチン)+VP-16(エトポシド) PI療法:CDDP(シスプラチン)+CPT-11(イリノテカン) CE療法:CBDCA(カルボプラチン)+VP-16(エトポシド) LD症例の初回治療の標準は化学療法+胸部放射線療法である。化学療法としてはPE療法が標準である(PI療法と放射線療法の併用は肺障害のリスクが高いため行われない)。胸部放射線療法として加速過分割照射(従来の1日1回ではなく1日2回の照射)が行われる。 ED症例については初回治療においてはPE療法が標準治療とされている。ただし日本で行われた臨床試験ではPI療法の方が良好な成績であったため、PI療法が使われることが増えてきている。しかし、海外で行われたPI療法の追試ではPE療法と比較して優位性は証明されなかった。 従来の化学療法に免疫チェックポイントを上乗せすることも推奨されており、CE+アテゾリズマブ療法、CE(またはPE)+デュルバルマブ療法の有効性も認められている。 LD症例、ED症例いずれの場合も初回治療後に再発してくることがある。初回治療が奏効し、かつ治療完遂後から再発までの期間が長い場合は感受性再発、それ以外は難治性再発と呼ばれる。感受性再発症例ではノギテカン単剤投与が標準治療とされている。ノギテカンの奏効率は10%前後に過ぎず、再発例におけるアムルビシンの有効性が現在検討されつつある。またPEI療法(CDDP+VP-16+CPT-11)も推奨されている治療の一つであるが、毒性が強いため注意が必要である。難治性再発例についてはアムルビシンが推奨されている。
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