小夜左文字とは? わかりやすく解説

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小夜左文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 17:54 UTC 版)

小夜左文字(さよさもんじ)は、南北朝時代に作られたとされる日本刀短刀)。日本重要文化財に指定されており、大阪府茨木市にある株式会社ブレストシーブが所蔵する。文化財名称は「短刀 銘左 筑州住(名物小夜左文字)」[2][注釈 1]


注釈

  1. ^ 官報告示掲載の指定名称は半改行を含む以下のような表記となっている(原文は縦書き)[2]。「短刀銘左
     筑州住
    (名物小夜左文字)」(たんとう めい さ ちくしゅうじゅう めいぶつさよさもんじ)[2][3]
  2. ^ 土井姓で能登守を受領したのは、1646年(正保3年)に叙任された利房(1631年~1683年)と1755年(宝暦5年)叙任の利貞(1740年~1807年)の2名いるがいずれも享保年間には合わないため、どの人物を指すかは不明である[10]
  3. ^ 「庵」の字を最後に使用する雅号を示す[11]
  4. ^ ただし、1962年(昭和37年)に刊行された佐藤寒山著『日本名刀物語』、および1971年(昭和46年)に刊行された福永酔剣著『日本刀物語』では、秋田県の個人による所有とされている[16][17]
  5. ^ 文献によっては24.4センチメートル[21]、あるいは8寸8分(約27センチメートル)とする資料もあるが[22]、刀剣研究家の福永酔剣は8尺1分(約24.25センチメートル)とする[9]。本項では重要文化財編纂委員会の資料に合わせるものとする。

用語解説

  1. ^ 「造込」は、刃の付け方や刀身の断面形状の違いなど形状の区分けのことを指す[23]
  2. ^ 「地鉄」は、別名で鍛えや地肌とも呼ばれており、刃の濃いグレーや薄いグレーが折り重なって見えてる文様のことである[24]。これらの文様は原料の鉄を折り返しては延ばすのを繰り返す鍛錬を経て、鍛着した面が線となって刀身表面に現れるものであり、1つの刀に様々な文様(肌)が現れる中で、最も強く出ている文様を指している[24]
  3. ^ 「刃文」は、赤く焼けた刀身を水で焼き入れを行った際に、急冷することであられる刃部分の白い模様である[25]。焼き入れ時に焼付土を刀身につけるが、地鉄部分と刃部分の焼付土の厚みが異なるので急冷時に温度差が生じることで鉄の組織が変化して発生する[25]。この焼付土の付け方によって刃文が変化するため、流派や刀工の特徴がよく表れる[25]

出典

  1. ^ a b c 本間順治; 佐藤貫一『日本刀大鑑 古刀篇3【図版】』大塚巧藝社、1966年、236頁。 NCID BA38019082 
  2. ^ a b c d e 文化庁 2000, p. 232.
  3. ^ a b 短刀〈銘左/筑州住〉(名物小夜左文字) - 国指定文化財等データベース(文化庁)、2018年1月9日閲覧。
  4. ^ a b c 広島)「左文字」華麗なる名刀 ふくやま美術展で特別展 - 朝日新聞デジタル 2021年9月25日閲覧
  5. ^ a b 羽皐 1912、27頁。
  6. ^ a b c d e 佐藤 1990、200頁。
  7. ^ 小和田 2015, p. 269.
  8. ^ a b c 本堂 1935, p. 77.
  9. ^ a b 福永酔剣『日本刀大百科事典』 2巻、雄山閣出版、1993年11月20日、355頁。ISBN 4639012020NCID BN10133913 
  10. ^ a b c 川見 2016, p. 39.
  11. ^ 庵号」『精選版 日本国語大辞典』。 オリジナルの2019年10月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20191013153833/https://kotobank.jp/word/%E5%BA%B5%E5%8F%B7-2003862019年10月13日閲覧 
  12. ^ 昭和27年12月16日文化財保護委員会告示第25号(指定は昭和27年(1952年)7月19日付け)
  13. ^ 毎日新聞社「重要文化財」委員会事務局『重要文化財』 第27巻 (工芸品 4 刀剣及び刀装具)、毎日新聞社、1977年5月20日、109頁。 
  14. ^ a b 「重要文化財」編纂委員会『解説版 新指定重要文化財 工芸品Ⅱ 甲冑・刀剣・刀装具』 6巻、毎日新聞社、1982年3月30日、223頁。 
  15. ^ 毎日新聞社; 日本美術刀剣保存協会 編「出品解説 重要文化財 三八 短刀 銘 左 築州住 (名物小夜左文字)」『日本名刀展 英米からの里帰りと国内の名作』1970年。 NCID BN05192753 
  16. ^ 佐藤寒山『日本名刀物語』白鳳社、1962年9月30日、69頁。 
  17. ^ 福永酔剣『日本刀物語』雄山閣出版、1971年4月15日、77頁。 
  18. ^ 日本刀紹介”. ブレストシーブ所蔵の日本刀紹介. ブレストシーブ. 2017年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月10日閲覧。
  19. ^ 日本刀剣博物技術刀剣財団『お知らせ』。 オリジナルの2015年12月22日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20151222081216/http://www.nihontou.or.jp/custom1.html2015年12月22日閲覧 
  20. ^ Q&A:日本刀なんでもQ&A - 日本刀剣博物技術研究財団 2021年9月25日閲覧
  21. ^ 佐藤 1990, p. 199.
  22. ^ 小和田 2015, p. 268.
  23. ^ 刀剣春秋編集部 2016, p. 165.
  24. ^ a b 刀剣春秋編集部 2016, p. 174.
  25. ^ a b c 刀剣春秋編集部 2016, p. 176.


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