導入推進論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 23:58 UTC 版)
経済学者の岡田靖は「2%程度のインフレを目標に経済を運営すべきだということは、ほとんどの先進国で受け入れられている政策の枠組みとなっている」と述べている。金融政策の透明性向上や予想インフレ率を安定化させることから、日本でも導入を求める声があった。アメリカの経済学者のポール・クルーグマンやベン・バーナンキ、岩田規久男、竹中平蔵、中原伸之ら日米の経済学者・経済論者たちは日銀・政府の姿勢を強く批判し、リフレ政策によるデフレーション克服を唱えた。 上記の経済学者のほかにもリフレ派の経済論者である野口旭、森永卓郎、原田泰、若田部昌澄、勝間和代、片岡剛士、田中秀臣、浅田統一郎、飯田泰之、高橋洋一、安達誠司、浜田宏一からインフレターゲットが提案されていたが、日銀や学者の中には反対論が多かった。毎日新聞、朝日新聞、週刊東洋経済は反金融緩和派、反インフレ・ターゲティング派の急先鋒であった。 ポール・クルーグマンは1998年の論文で「バブル崩壊以降、不況から抜け出せない日本が実行できる政策は、もはやインフレターゲットしかない」と初めて指摘し、その後も著書でインフレターゲットの必要性を主張していた。1990年代後半の日本における深刻なデフレーションに対し、借り手である企業の負担となるデットデフレーション(Debt Deflation)の解消をはかる見地から、クルーグマンは中央銀行(ここでは日本銀行)が長期的に通貨量を増加させることにより、名目金利から予想物価上昇率(15年間にわたって年4%ずつ)を差し引いた実質金利をマイナスにするという案を示した[信頼性要検証]。クルーグマンのインフレターゲット政策の核心は、市場参加者の期待形成に影響を与える、マイナスの実質利子率を達成することで経済の不安定を解消するという事である。 日銀は0-1%の物価上昇率の目途(日銀の認識を示す目安であって、日銀の政策目標としての規律性は持たない)を設定していたが、インフレ・バイアス(日銀が物価安定の指標として用いるCPI(消費者物価指数)は統計の性格上、1%弱の上方バイアスがかかるとの研究報告がある)まで考慮するならば、ニュージーランド準備銀行が採用しているように1-3%の幅で目標インフレ率を設定するのが望ましいとの主張があった[誰?]。
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