対動物毒素の生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 15:43 UTC 版)
内生真菌は草食動物に対する植物防御のために二次代謝産物などの化学物質を宿主体内で合成する。この防御物質の知見は多年生ドクムギ属において最もよく研究されている。そして、防御物質としての二次代謝産物にはインドールジテルペン類、麦角アルカロイド類およびペラミンの3つの主要クラスが見出されている。これらいずれのクラスの物質も広い範囲の内生真菌で確認されている。 テルペンおよびアルカロイドは、植物が産生する防御物質と同様に作用し、広範囲の昆虫や哺乳動物の草食動物に対して非常に有毒である。ペラミンは無脊椎動物に対して更に強い毒性を有し、イネ科植物の内生真菌で産生される。テルペノイド類とケトン類は昆虫と脊椎動物の両方からの高等植物の防御に関与する。 防御物質からの中毒作用の大きさは食植性昆虫の奇主特異性の程度と摂食方法(咀嚼型か吸汁型か)で異なる傾向にある。咀嚼型の場合、広食性昆虫は単食性あるいは少食性昆虫よりも、防御物質の感受性が大きい。食植昆虫は植物の摂食で競合するため、広食性動物の摂食が阻害されることは、単食性/少食性昆虫にとって好ましい可能性がある。また、広食性食植昆虫でも吸汁型の場合、摂食する部位で植物の防御から受ける影響の程度は異なる。葉肉を摂食する吸汁型昆虫は中毒作用を大いに受けるが、師管液を摂食する昆虫はほとんど受けない。
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