安全管理をめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 14:37 UTC 版)
「日本ボクシングコミッション事件」の記事における「安全管理をめぐって」の解説
JBCは2013年4月1日付で医事規則を改定し、網膜剥離を患ったボクサーがJBC指定専門医に完治の診断を受けた場合は現役続行を認めることとした。これまでは引退勧告の対象としていたが、JBC関係者は「辰吉の時代と比べて治療技術が進歩した」と説明し、同年3月8日付のJBC本部事務局長・森田健ならびにJBC健康管理委員会・谷諭および大槻穣治の連名による協会宛通達でも「近年の治療技術の著しい向上を受け」とのみ記されている。この医事規則改定では網膜裂孔・増殖性硝子体網膜症についても同じ扱いとしており、JBC試合管理事業部長・羽生孝次は「逆に厳しくなった一面もあります」と述べ、『ボクシング・マガジン』2013年8月号では「この規制見直しは、緩和ではない。ボクサーに問いかける、自己責任の在りかでもあるのだ。」「JBCは目の疾病に対して門戸を開いたが、リングに立つことを許しただけのこと。それ以上の身体的なことは、すべて自己責任であると、ボクサーたちも考えていただきたい。」との見解を示している。この改定を受けて復帰した選手には2015年6月のJBC・協会合同の医事講習会の時点ですでに複数名の再発がみられ、医療関係者からは、辰吉の時代からの約20年間に治療技術にはそれほどの進歩はないこと、現役続行の認可は術式の変化よりも考え方の変化によるものであろうこと、指定専門医は関東地区に1施設、関西地区に2施設、中京地区に1施設、九州地区に1施設のいずれも大学病院であるが、その選定基準は不明であり、ボクシングジムの分布やボクサーの人口密度とは乖離がありそうなこと、他国と足並みを揃えたにしてはずいぶんと遅い対応であることが指摘されている。 2015年12月22日、JBCは、定年となる37歳に達しても日本ランキング入りしているプロボクサーに対しライセンスを例外的に再交付すること、プロテストの受験資格を17–32歳から16–34歳に拡大することなどを決定。11月の有識者会議でルール変更が検討され、この日の理事会で承認された。時事通信の記事は、定年制自体をなくす意見もみられたが医師側が反対したことを伝え、「議論は尽くされていない。守るべきものを守らず興行面を優先するのは本末転倒。JBCの存在意義が問われる。」と結んでいる。
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