子どもと思春期の青年
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 03:46 UTC 版)
「アンガーマネジメント」の記事における「子どもと思春期の青年」の解説
幼い子どもは、自分の感情を理解し、特定状況下でどう反応すべきかを理解すれば、適切に自分を表現できる可能性を高めることができる。2010年に「Journal of Applied School Psychology」に掲載された研究では、4年生の男子生徒4名の観察を行った。この子どもたちは、感情に対処する方法を学ぶクラスから怒りを減少させる戦略まで、様々な活動にスクール心理学者と一緒に参加した。その結果、活動に参加している途中からポジティブな修正効果が得られ、複数のロケーション(学校、家、その他)における怒りの表現が減ったことが確認された。 認知行動療法に基づいたアンガーマネジメント・プログラムは、子どもと思春期の青年向けに修正されてきた。若者向けCBTとしてよく用いられるのは、以下の3つである。1つ目は、生活スキルの向上(コミュニケーション、共感、適切な自己表現など)であり、怒りに適切に反応する方法を教えるためにモデリング(観察学習)を用いる。2つ目は、怒りの感情を認識し、リラックスすることに焦点を当てる効果的な教育である。3つ目は、怒る代わりに状況を把握し、原因と結果の見極め方を教えることによる問題解決である 。年齢と重要な要因の深刻度に応じ、これら3つの要素を教えるため、幅広いメソッドが適用される。幼い子どもたちには教育的ゲームや活動を通じ、より楽しい形でアンガーマネジメントを説明することにより、効果を高めることができるだろう。思春期の青年には、自然社会環境的な類似点を見出すことができる集団療法が効果的だろう。表現される怒りのレベルの深刻度に応じて、後のアンガーマネジメント・プログラムの内容が調整されることも多い。例えば、教室という状況設定において暴力行為が見受けられる場合は、スクールカウンセラーとのセッションを数回設ける等である。しかし、より深刻な少年犯罪などの場合は、法廷が少年更生施設でのアンガーマネジメント・セッションを命じる場合もある。 既存プログラムを評価し、より有効なプログラムを作成する目的で、子どもや思春期の青年に対するアンガーマネジメントの有効性の研究が行われた。40の研究に対するメタ分析が行われた結果、CBTを用いたアンガーマネジメント治療の全体的な効果値は0.67であることが分かった。このことから、アンガーマネジメントは問題となるレベルの怒りに対する適切なアプローチであることが示唆される。スキル向上(0.79)や問題解決(0.67)に関しても、情意教育(0.36)より高い有効性が確認された。これは、子どもには行動的側面を教えるほうが認識的側面を教えるより簡単だからではないかと考えられる。若年層を対象として早期介入を行う真の価値は、その予防的側面にある。人生の早い時期に負の行動を抑制することで、成人期により前向きな展望を持つことができると考えられる。
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