女の子発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 23:41 UTC 版)
このように、この時期の中曽根周辺は国外ではアメリカの、国内ではアイヌ民族や人権関連団体の対応に追われたようである。それが妙な失敗を引き起こし、さらに新たな失言を引き出した。いわゆる「女の子」発言がこれである。 発端は、関東ウタリ会である。この会では、首相宛に公開質問状を二度にわたって送ったが、一度目は返事がなく、二度目に対してははがきで回答があった。二度目の送付が10月29日、はがきの到着は11月3日であった。 回答は手書きで、以下のように記されていた。 『御丁寧なお便りありがとう存じます。 前のお手紙は官邸にくる手紙の量が1日に千通を越す故、ご希望の日までにご返事出来なかったことと存じます。 発言につきましては新聞報道のわい曲のところで、皆様にご迷惑をおかけしたことを深く謝辞致します。』 差出人は「砂防会館四階 中曽根康弘」という印刷の横に手書きで(代)とあった。 ところが、この「新聞のわい曲」が何を指しているのかが全く分からない。11月5日に記者がこれについて質問したところ、 『返事を書いた本人に聞いてみたら、わい曲とは書いてないといっている』 もちろん事実に反するので改めて確認すると 『今調べさせている。中曽根事務所が返答を出したので、「代」と書いている。』 事務所からの回答は以下の通り。 『首相の指示ではなく、まったく独断で返事を書いた。「新聞のわい曲」としたのは知識水準発言の回答と混同したため』 これでは政治家事務所としてあまりにおそまつであろう。その日の夕方に詰め寄った記者団に対して首相が答えたのが問題の発言となった。 『いや、まあ女の子が書いたので。事務所長が遺憾の意でも表明するんだろう。よくわからないから相談してみる』 これは女性蔑視的発言であるとして、11月7日には久保田真苗社会党婦人局長が抗議談話を発表、さらに11月10日の予算委員会でもこの発言についての追求が行われた。そこでの首相の答弁には以下のようなものがあった。 『女の子といったのは「かわいい女の子」という愛称的意味。しかし、しかられると思い、「事務員」といい換えた。(略)男の子が書いたのではないと言いたかった』 この問題は先の二つに比べると問題としては大きなものとはならなかったが、同じ流れの中でのおまけの失言として伝えられた。なお、最初の講演での「女はネクタイしか見ていない」という発言も女性蔑視であるとして一部では追及を受けた。しかし『ニュースステーション』が通行人に画像を見せて試したところ、確かにその傾向があるとの結果が出た。
※この「女の子発言」の解説は、「知的水準発言」の解説の一部です。
「女の子発言」を含む「知的水準発言」の記事については、「知的水準発言」の概要を参照ください。
- 女の子発言のページへのリンク