天皇についての学術的言説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:28 UTC 版)
横田耕一(憲法学者)『平凡社大百科事典』「天皇」:近年天皇の権威強化の動きが進行している。具体的には、ⓐ象徴規定の権威主義的拡大解釈、ⓑ公的行為の拡大、ⓒ栄典授与の濫発、ⓓ元首としての実態的取扱い、ⓔ〈日の丸〉〈君が代〉など天皇にまつわるシンボルの強調、ⓕ天皇に関する記述の教科書検定強化、ⓖ在位五十年式典の挙行、ⓗ天皇や閣僚による靖国神社参拝などの宗教活動の公然化(国家神道とのつながり)、ⓘ天皇批判言論に対する圧迫などによって天皇の権威は強化されている。同時に、改憲による天皇元首化の実現も一部で意図されている。ともあれ、象徴天皇制の存在とその運用は、国民主権原理および平等原則を希薄化する機能を果たしているといえよう。 ベン=アミー・シロニー(歴史学者):今日の日本皇帝の公的地位は、同様に「君臨すれども統治せず」であるイギリス君主の公的地位よりも低い。イギリス女王は公式に主権者、元首、国軍の最高指揮官、国教の首長、貴族の首長、連邦の首長である。これらは儀礼的権能ではあるものの、誰もそのような権能を日本の皇帝に授けようとはしまい。イギリス女王はまた、世界一の富裕層の一人であり、財政上の自治権を享受している。日本皇帝の所有物は、林野や株式もあったが、没収された。今日では皇帝の収入は全て、国家予算から引き出されている。日本の皇帝は、内閣の承認の下に元首のような儀礼的権能を行うが、元首でさえない。
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