外気圏と大気散逸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 16:03 UTC 版)
「オシリス (惑星)」の記事における「外気圏と大気散逸」の解説
成層圏の上部には外気圏が存在する。2001年11月27日にハッブル宇宙望遠鏡によって HD 209458 b の大気中からナトリウムが検出され、これは太陽系の外で惑星の大気が測定された初めての例になった。この発見は、天文学者のサラ・シーガー(英語版)らによって2001年後半に予測されていた。ナトリウムのスペクトル線のコア部分は気圧が50ミリバールから1マイクロバールとなる範囲まで続いていた。これは HD 189733 b の大気中のナトリウムの量のおよそ3分の1であることを意味する。 2003年から2004年にかけて、天文学者はハッブル宇宙望遠鏡の画像分光器 STIS を用いた観測で、惑星の周囲に 10,000 K にもなる水素、炭素と酸素からなる巨大な楕円体状のエンベロープが存在するのを発見した。水素の外気圏は惑星のヒル半径である3.1木星半径にまで広がっており、これは惑星の半径である1.32木星半径よりもずっと大きい。この距離と温度では、大気粒子の速度のマクスウェル分布は脱出速度よりも高速で動く原子の顕著な「尾」を形成する。この惑星は、1秒あたり 1-5×108 kg もの水素を失っていると推定される。このエンベロープを投下してくる恒星の放射の解析からは、より重い元素である炭素や酸素原子も惑星から流れ出していることが分かっている。これは惑星から蒸発していく水素大気による極端な流体力学的抗力によるものである。惑星から流れ出す水素の尾はおよそ 200,000 km の長さがあり、これは尾の直径とおおよそ等しい。またその速度は時速 35,000 km という猛スピードである。 このような大気の損失は、太陽に似た恒星の周りを 0.1 au よりも近い距離で公転する全ての惑星で一般的に起きる現象だと考えられている。HD 209458 b は全質量を失うことは無いものの、推定される寿命である50億年の間に最大で全質量のおよそ 7% を失うと推定されている。惑星の磁場はこの大気の散逸を阻害する可能性がある。これは、外気圏は主星によってイオン化され、磁場はイオンを散逸から防ぐからである。
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