地震計横領疑惑と逮捕勾留と冤罪主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 04:47 UTC 版)
「島村英紀」の記事における「地震計横領疑惑と逮捕勾留と冤罪主張」の解説
2005年3月、ノルウェーのベルゲン大学に北大所有の海底地震計を売却したとの業務上横領の容疑で北海道大学から告訴される。しかしこの告訴を受理した札幌地検は業務上横領では立件するには無理と判断し、2006年2月1日、詐欺罪で島村を逮捕し起訴、171日間勾留した。 札幌地裁での裁判では詐欺罪の被害者とされたノルウェー・ベルゲン大学の研究者が詐欺の被害を受けたとは思っていないと証言したほか、海底地震計はそもそも北海道大学の備品にもなっておらず、島村が独自に世界に先駆けて開発したもので北海道大学の所有物ではないと主張したほか、実際には売買は行われていないと主張した。しかも「売った」とされた海底地震計が北大に残っていて、ベルゲン大学はなにも言ってきていなかった。つまりベルゲン大学が支払ったお金は「共同研究費」だった。ただベルゲン大学が、ノルウェーの石油会社からの研究予算獲得のために形式上「買った」形にしたかったのであった。本当はベルゲン大学の事情であった。さらに、入金した金は、検察がいくら調べても、私用に使った形跡はなく、すべて研究費に使われていた。これらのため、北海道大学が告訴して札幌地検が受理した罪名は「業務上横領」だったが、途中から「詐欺」に変わったのは業務上横領では立件できないという検察の見通しゆえであった。このほか、たとえ材料や原料は北海道大学の研究費で買ったとしても、それを使って開発した、世界になかった海底地震計は北海道大学のものではなくて研究者のものだという議論もある。 しかし2007年1月12日札幌地裁で懲役3年、執行猶予4年の判決が出た。2007年刊行の著作『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』で、地震予知に対して批判的であったため国策で起訴された冤罪だと主張している。島村はこのような国策逮捕・国策起訴では控訴しても無駄だと控訴を断念し、2011年1月に執行猶予が終わった。 この間、島村は北海道大学から2200万円の損害賠償を求められ、民事で提訴されている。北海道大学の訴えの内容は、島村が大学の備品の海底地震計をノルウェーの大学に売却し、代金約2000万円を島村の口座に振り込ませたというものであった。2006年10月25日に和解が成立し、同年11月1日に島村が1850万円を支払うことで決着がついた。この問題について、島村側は「振り込まれた研究費を自分の口座に入れたこと」は「大学に相談したが、大学では外国から研究費を受けとる仕組みがなかった」と主張している。
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