地図の解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 23:26 UTC 版)
「フラ・マウロの世界図」の記事における「地図の解説」の解説
プトレマイオスの影響を受ける近代地図と異なり、同図はイスラムの地図伝統と同じく、南が上になっている。フラ・マウロはプトレマイオスの地図を熟知していたが、それが不十分であると同図の中に次のように記している。 私がプトレマイオスの『地理学』には倣わないとしても、彼を傷つけることになるとは思われない。彼(の地図)の経線、緯線、あるいはその度を見てみるなら、周辺部の、既知である土地の外の土地の提示に関しては、プトレマイオスが多くの地方を記さずに省いたことは必要なことであったろう。しかし、主に南から北への緯線(方向)において、彼(の地図)にはたくさんの未知の土地 terra incognita があった。彼の時代には知られていなかったのである。 しかしフラ・マウロは、プトレマイオスを通じて東方の広がりも知っていたので、それ以前には世界地図の中心に位置づけられていたエルサレムを中心から外した。 エルサレムは確かに、緯度からいえば人間が住む世界の中心であるが、経度からいえば、やや西にある。しかし西の部分はヨーロッパであるために、より人が密集して住んでおり、それ故に、空所を考慮せずに人口密度を考慮するなら、エルサレムは経度的にも中心である。 中世の学者の間では一般的であったことだが、フラ・マウロもまた、世界が球であると認識していた。しかし、円盤型の枠内に海に囲まれた大陸を描くという慣習に倣っている。他方、世界の大きさについては、分かっていなかった。 なおまた私は、周辺部についての様々な意見を見つけたものの、それらを確かめることは出来ない。様々な考察や意見によれば、22,500ミリオ、あるいは24,000ミリオ、それ以上ともそれ以下とも言われているが、それらは実験されているわけではないので、あまり信頼できるものではない。 「ミリオ miglia 」は英語でいう「マイル」に当たり、1592年までは正確に規格化されてはいなかったので、ここで意図されている大きさは曖昧ではある(なお、地球の平均円周は現在でいうと 24,880マイル)。 同図内に記されている居住地(城や街)や山などの、その地誌も重要である。
※この「地図の解説」の解説は、「フラ・マウロの世界図」の解説の一部です。
「地図の解説」を含む「フラ・マウロの世界図」の記事については、「フラ・マウロの世界図」の概要を参照ください。
- 地図の解説のページへのリンク