地下水位の上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 19:31 UTC 版)
東京などの沿岸部に近い都市部の、海岸に近い地域では、海面上昇に伴い、地下水の水位が上昇する。これにより、地下鉄など地下に埋設された空洞部分の地下水に対する浮力が増し、地下道の破壊を招きかねない。この対策として、地下設備のアンカー固定を行う作業が必要となる。現在のところ温暖化との直接の関連性は見受けられないが、東京駅や上野駅などでは近年、地下水の上昇に伴い、地下駅の浮力の上昇が問題となり、アンカー設置工事が行われている。東京の地下水上昇の主因は工業用水くみ上げ規制により、地下水位が回復していることも影響している。 同時に、海面の上昇は地下水における海水の侵入をも意味する(地下水の塩水化)。日本の工業地帯は主に海岸部に集中し、多くの地下水をくみ上げ工業用水として使用している。すでに地盤沈下などで工業用水のくみ上げの規制は行われているが、これに海水が混入し始めると、工業用水としての利用はできなくなる。このため、淡水化事業、ダム水利権など多くの問題が発生することとなる。また、海岸に近い水田では、地下深くにあった塩分の層が地表近くに達し、干拓地などにおける水田では、稲作に深刻なダメージを与えることが懸念されている。加えて、河川の塩水くさびの影響が中流域にまで達すると考えられ、平野部の農業用水や生活用水の取水に大きな影響を与えるものと考えられる。
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