地下水の枯渇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 19:10 UTC 版)
20世紀以降、地下水利用の機械化が進み、大量の地下水が農業用水として利用されるようになった。結果、諸国では持続可能なレベルを超えた地下水の汲み上げが行われており、農業を危機に陥れている。緑の革命が犯した誤謬のひとつは、農業用水が無限であることを前提においたところにある。多くの地域において、短期間の満足を得るために大量の水を汲み上げるか、あるいは長期的に見て生産量を極大に安定させるために取水制限を課すかという二者択一に迫られている。 また開発途上国では、1990年代半ばまで、全般的に地下水を過剰に汲み上げている状態にあった。もっとも大規模な地下水量の減少が起きているインドや中国では、たとえば、華北平原では35年間に地下水位が50メートル低下し、インドでは地下水の過剰な汲み上げが差し引き56 %に達した。 先進国のひとつであるアメリカ合衆国においても、地下水の過剰な汲み上げが農業に影を落としている地域は無数にあり、水質の維持と農業の長期的継続が危ぶまれだしている。1970年代初頭、合衆国陸軍工兵司令部は、一部の地下水源について過剰取水が懸念されるという認識を示した。たとえば、合衆国最大級の地下水源であるオガララ帯水層では、アメリカの中心部に相当量の穀物を供給するために過剰な汲み上げが行われている状況である。やや規模は小さいが重要な例として、カリフォルニア州のソノマバレーでも過剰な汲み上げの影響が表面化しはじめており、現在、作地面積に制限が課されている。
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