地上の範囲での、従来の自然学への疑念と改良
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:57 UTC 版)
「万有引力」の記事における「地上の範囲での、従来の自然学への疑念と改良」の解説
さて、アリストテレスの考え、「土元素が多いものが重い、それが多いものほど速く落ちる」については、パドヴァ大学のベネデッティ(Giambattista Benedetti、1530-1590)が異論を唱えた。またオランダのステヴィン(Simon Stevin、1548-1620)は、重さが10倍異なる二つの鉛玉を9メートルほど落下させ、ほとんど同時に落ちることを確かめて、このアリストテレスの理論に異議を唱えた。 自然学者ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)も、上記の中世の考え方(の一部)に疑問を投げかけた。(ところで、先行する14世紀の自然学者ビュリダンはインペタス理論(いきおい理論)を提唱し、その理論では、物体を投げると手からインペタスが物体の内部に移ることで飛び続け、空気や重さなどの抵抗により内部要因のインペタスが減り、落下に伴ってインペタスが増加し、ますます速く落ちるようになる、と説明した。)ガリレイは、当初、このインペタス理論を採用していた が、やがてガリレイは物体の運動をモーメント(重さ以外の、距離や速度などをひとまとめに呼ぶ、ガリレオによる概念)という考え方で理解しはじめ、(内部要因の変化で説明する)インペタス理論は採らなくなった。では落下速度はどのような理屈で増加するのか? 落下距離に比例するか? 落下時間に比例するか? という点で、1600年ごろガリレイは悩み悪戦苦闘したらしい が、1604年には(経緯が詳しくは分かってはいないらしいが)「落下速度は時間に比例する」という仮説にたどり着いた、という。こうしてガリレイは動力学に貢献した。ガリレイは斜面で球を転がす実験を多数行い、水平面では等速になることから、「加速・減速の外的原因が取り去られている限り、いったん運動体に与えられたどんな速度も不変に保たれる」という考え方をするようになった。これは現代で言う慣性の法則に近いものではあるが、ただガリレイは、それは地上の物体にだけ通用する法則であって、天体には通用しないと考えていた。ガリレイも古代ギリシャ以来の考え方をなぞり、天体は天体で別の性質を持っている、円運動をする性質を持っているのだ、と考えていたのである。
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