在家信者の戒律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/20 22:06 UTC 版)
「アヒンサー (ジャイナ教)」の記事における「在家信者の戒律」の解説
ジャイナ教の在家信者は自分の家を守り職に就くことを強いられているため、出家信者の五大誓戒を守ることはできない。それゆえ彼らはアニュヴラタ、つまり、出家者の五大誓戒と同内容ではあるがあまり厳密に守られない五小誓戒を守っている。在家信者にとって生業、調理、自己防衛等々の過程で、ある意味で不動の存在を傷つけるのは避けがたい。このために彼らは必要な目的や断固とした意図がない限りは運動や感覚の能力がある存在を、それが無害なら殺さないと誓う。それに伴って、怒りやその他の激情に汚染されているような、傷つけたり、破壊したり、重荷を背負わせたり、心を持つ動物や人間から食料や飲料を奪うことは、アヒンサーの戒律の五つのアティチャーラ(aticāra)つまり咎である。しかし、五大誓戒が遵守されなければ限定された形でしか魂が発展しないし解放されることはないと理解されている。 在家信者によるアヒンサーの実践 ジャイナ教は厳格な菜食主義を要求するおそらく世界でも唯一の宗教である。根菜、鱗茎、たくさんの種子を持つ野菜その他のような生物を傷つけることにかかわるような植物性の食品ですら厳格なジャイナ教徒は避ける。アヒンサーの重要性は他にもジャイナ教徒の多くの生活様式に現れている。そのためしばしば在家信者は、生物に対して暴力をふるうことが最も少ない職業である商業に携わることになる。毛皮、羽毛、絹などでできた服は着ない。革の使用は最小限に抑えられ、何らかの出来事で自然死した動物のものだけが使われなければいけない。食事は可能な限り日中に食べられる、というのは夜間に調理を行うと虫を殺してしまう可能性が高いからである。迷い込んだ虫が死んでしまうことのないように、ジャイナ教徒たちは燈火を囲っておき、水を入れた器に覆いをかける。同種の用心として、水は使う前に必ず濾しておく。長い年月の間、ジャイナ教徒は暴力を必然的に伴う職業に就くことを避け続けてきており、このために不釣り合いな割合のジャイナ教徒が銀行業、商業、その他商取引関係の職に就いている。
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