国の歴史を取り戻す
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 16:16 UTC 版)
「ブアレム・サンサル」の記事における「国の歴史を取り戻す」の解説
2018年11月、フランス共和国ライシテ委員会(フランス語版)のライシテ賞を受賞した。現在、フランス国内でもライシテ(政教分離)に関する意見が分かれ、見直しが必要だという声が上がっており、また、フランスのライシテは普遍主義に基づき、共同体主義を否定する点で特殊だとされるが、サンサルは受賞演説で、「アラブ・イスラム諸国からの圧力に抗して、フランスのライシテとその特殊性を守らなければならない」と語った。サンサルは現在もアルジェリアのブメルデスに在住しているが、フランスに亡命したと思い込んでいるアルジェリア人が多く、「政教分離の国に住んでいるから、あのような(宗教批判の)本が書けるのだ」と言われるという。また、「亡命を考えたことはないのか」という質問に対して、「毎日のように考えている。毎日、『もうおしまいだ。疲れた。ここでの生活は辛すぎる』と思うが、母を置き去りにすることはできないし、この「戦場」を去って普通の生活を送ったところで、罪悪感から逃れられない。行動を起こそうとしない人々に範を示したい。国を去らなければならないのは権力者たちだ。これまで譲歩しすぎた、もはや譲歩すべきではない」と説明した。実際、4期20年の長期政権を維持してきたブーテフリカ大統領の5期目への立候補をきっかけに起こった、辞任を求める大規模デモについて、次のように語った。 フランスから解放されたアルジェリアが、今度は、その後権力を掌握したブーテフリカ一族の支配下にある。長い間、苦渋に満ちた恥ずべき服従を強いられていたアルジェリア人がついに立ち上がり、抑圧と恐怖からの解放を求めている。独裁者を追放し、1962年7月5日の独立宣言の後、独裁者とその一族によって奪われた国の歴史を市民の手に取り戻そうとしている。 サンサルは主にフランス、ドイツで高く評価されているが、同じマグレブ諸国出身でサンサルを支持する知識人に、イスラムにおける自由主義・進歩主義を唱えるアブデラワハブ・メデブ(フランス語版)、宗教人類学者でイスラム啓蒙主義を唱えたマレク・シェベル(フランス語版)、近代的イスラムの再建を目指したムハンマド・アルクーン(フランス語版)、コーランの文化人類学で知られるユセフ・セディック(フランス語版)らがいる。
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