和弓と蒙古弓とは? わかりやすく解説

和弓と蒙古弓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:00 UTC 版)

元寇」の記事における「和弓と蒙古弓」の解説

和弓第一特徴は、弓が約2.2mもあり世界最大長弓であったことにある。長弓であることは矢を引く長さ(矢尺)を伸ばし弓矢威力増大することを意味し現存している鎌倉時代の矢から80-90cm前後の矢尺を引いた推測される第二特徴は弓を握る位置にある。日本以外の弓では握り位置が弓の中央であるのに対して和弓は上から2/3中央より下の方を握るようになっており、短下長上という構造になっていた。これは弥生時代には確認できる日本独特の弓の特徴であった中央より下方握ることで以下の利点があった。同一の弓でも弓力(弓が矢を放つ力)が増大すること。短下長上という構造上、矢の角度仰角となり、結果射程距離をより長くできた。さらに弓幹振動がこの握り近辺では少なく操作しやすいことなどが挙げられる第三特徴としては「弓返(ゆがえ)り」といわれるものがある。これは、矢が発射され直後に、弓を握る左手の中で、弓が反時計回りにほぼ1回転することをいう。これも日本独特のものであり、鎌倉期南北朝期射術進歩、弓の改良によって新しく起こった現象である。この「弓返り」により、弓の復元力(弓が矢を発射する前の本来の形状戻ろうとする力)は速さ増し、矢はさらに加速され威力増した。ただし、実戦では矢の連射性を重視したため、復元手間掛かる弓返り」はさせなかった。 一方蒙古弓は、長さが1.5m〜0.6mで短弓である。弓は牛の角と腱と木を組み合わせて作られている。弓全体となっているのは木であり、弓の弦側には圧縮に強い牛の角加工したものを張り付け、その反対側には伸張に対して強度のある腱を張り付けてある。そして、弓全体接着力強化のため樹皮巻き、また湿気予防のために塗料塗られた。また、弓は弦を外すと反対側に大きく反る形に作られており、矢の速度および飛距離が増すよう工夫されている。矢の先には鏃が付けられ、その形状には各種ある。弓の弦は鹿(アンテロープ)の首の皮作られ丈夫にできている。 なお、和弓と蒙古弓についてそれぞれ言及されている史料もあり、日本側の史料八幡愚童訓』によると「蒙古か矢、みしかしといへとも、矢のねに毒をぬりたれは、ちともあたる処、とくに氣にまく…」とあり、一方、元側の史料の『汎海小録』によれば和弓ついて「弓(和弓)は木によって作られ、矢は長い遠くには届かない」 とある。 蒙古河野通有奉納木篦箭』重要文化財大山祇神社所蔵 日本の矢「征箭鎌倉時代南北朝時代重要文化財大山祇神社所蔵 日本の矢「征箭鎌倉時代南北朝時代重要文化財大山祇神社所蔵 日本の矢「雁股箭」鎌倉時代南北朝時代重要文化財大山祇神社所蔵 日本の矢「中差箭」鎌倉時代南北朝時代重要文化財大山祇神社所蔵

※この「和弓と蒙古弓」の解説は、「元寇」の解説の一部です。
「和弓と蒙古弓」を含む「元寇」の記事については、「元寇」の概要を参照ください。

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