各国における妊娠ストールの規制状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 03:10 UTC 版)
「妊娠ストール」の記事における「各国における妊娠ストールの規制状況」の解説
以下の規制は必ずしも妊娠ストール全廃ではない。たとえば欧州連合では、授精後4週間までと、分娩1週間前以降の妊娠ストール使用は認められている。また大手養豚企業のスミスフィールズも妊娠ストールの廃止を発表しているが、授精後最初の42日間の妊娠ストール使用を認めている(母豚の妊娠期間は約114日)。ほとんどの「妊娠ストールを止めた」生産者は、妊娠の最初の4〜6週間は妊娠ストールに母豚を閉じ込めているのが現状だ。 また、「妊娠ストール禁止」は必ずしも母豚が群れの中で自由に動き回れることを意味するものではない。例えば米国カリフォルニア州で決定した「妊娠ストール禁止」は母豚一頭当たりの面積を24平方フィート(約1.5m×1.5m)以上にすることを義務付けるものであり、一頭だけで檻に閉じ込めること自体は禁止していない。 欧州連合 理事会指令「豚保護のための最低基準」(COUNCIL DIRECTIVE 2008/120/EC of 18 December 2008 - laying down minimum standards for the protection of pigs)において、2013年1月1日から、授精後4週間以降~分娩1週間前までは、妊娠ストールの使用を禁止し、群れ飼育をしなければならない。 アメリカ アリゾナ、カリフォルニア、ミシガン、オレゴン、コロラド、フロリダ、メイン、マサチューセッツ、ロードアイランドの9の州で妊娠ストールの規制が決定している。これらの州では、四肢の伸展や身体の方向転換を可能とする飼養面積の確保が州法で規定される。また、カリフォルニアとマサチューセッツではこれらの基準を満たさない豚肉の販売も禁止となっている。 一方、オハイオ州では、州法で妊娠ストール自体の段階的禁止が規定されている。 なお、カリフォルニアでは2022年から本規制(母豚一頭当たりの面積を24平方フィート(約1.5m×1.5m)以上にすることを義務付ける)が施行される予定であったが、延期となった。養豚業界団体は本規則に異議申し立てしており、2022年3月に最高裁判所が異議申し立ての審理に合意している。マサチューセッツ州では2022年1月から施行予定であったが、豚肉流通への影響の懸念から2022年8月15日に延期された。 ニュージーランド 「Pigs Animal Welfare (Pigs)Code of Welfare 2010」において、2015年以降禁止。 オーストラリア TAS州および豪州首都特別地域(ACT)では、妊娠ストールの使用が法律で禁止されている。そのほかの州でも、2017年以降、妊娠ストールを使用できる期間は最大6週間または妊娠期間の約3分の1を超えないよう、州の動物福祉関連法に盛り込まれている。また、オーストラリアの豚肉生産量の91%をカバーする養豚業界団体のAPL(Australian Pork Limited)もまた、同団体の行動規範(Code of Practice)の中で妊娠ストールの自主的な廃止を掲げており、APLによると同国で飼育される約80%の母豚は妊娠ストールを使用していないという。
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