各国における技術開発の多様化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)
「鉄道車両の台車史」の記事における「各国における技術開発の多様化」の解説
鉄道の実用化以来、長期にわたって単純な軸ばね台車や釣り合い梁式台車が一般的であった鉄道車両用台車であるが、20世紀に入る頃から列車運行速度の引き上げに対応し、これに適合する特性を備えた設計とすることが求められるようになった。そのため、1920年代以降、世界各国で高速台車の研究が進んだ。 もっとも、理論的な面での研究こそ進められつつあったものの、蛇行動が問題となるほどの高速域で営業を行う国は皆無に等しく、また各国とも戦争遂行や産業振興の必要性から高速化と相反する貨物輸送力の拡充が社会的に強く求められていたこともあって、高速化のためには必要だが円滑な貨物輸送の遂行には障害となるような軌道改良を積極的に進めにくい一面も存在した。 このように、高速台車開発が難しい状況ではあったが、乗り心地の改良の過程で蛇行動への対処が求められ、また列車運行本数の増大に伴う軌道破壊の急速な進行への対処策も必要とされたことから、既存の重ね板ばねによる軸ばね式台車やイコライザー式台車に代わる新型台車の研究開発は、列車の運行速度の引き上げと歩調を合わせて徐々に進んでいった。 だが、1964年、ヨーロッパ各国にとってはほぼノーマークの鉄道後進国と見なされていた日本の国鉄が、高規格の旅客鉄道を低速の在来鉄道から分離した東海道新幹線を最高速度210km/hで営業運転開始したことでこの状況は一変することとなる。
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