台風による倒伏と保護再生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 06:00 UTC 版)
「上沢寺のオハツキイチョウ」の記事における「台風による倒伏と保護再生」の解説
平成に入り、上沢寺のオハツキイチョウに衰えが目立つようになったため、国宝重要文化財等保全整備事業の一環として2001年(平成13年)から4年間をかけ、枯枝剪定、石積撤去、土壌改良、根系保護などの樹勢回復対策が行われた。また、過去数回落雷に見舞われたため、オハツキイチョウの近くに避雷針が設置されるなど、手厚い保全保護対策が続けられていたが、2018年(平成30年)9月30日深夜に山梨県へ来襲した平成30年台風第24号の強風により、上沢寺のオハツキイチョウは根元付近から折れて倒伏してしまった。 台風の接近した9月30日深夜の23時30分(JST)頃、近隣の住民が木がきしむ音を聞いており、上沢寺住職も同じ頃、地響きのような大きな音を聞いている。台風が過ぎ去った翌朝の10月1日になって外に出ると、樹齢750年の巨樹は根元から折れ倒れていた。当時87歳の住職によれば1959年(昭和34年)の伊勢湾台風でも多くの枝が折れたので、ある程度の被害は覚悟していたが、まさか根元から倒れるとは考えもせず、ショックのあまり言葉が出なかったという。上沢寺では身延町や山梨県、国と相談しながら保護策を進める考えで、身延町教育委員会の文化財担当者も保護再生に協力したいと話し、倒れたオハツキイチョウの巨木は撤去せず、倒したままの状態で見守られた。 翌年の2019年(令和元年)5月末、倒した状態のオハツキイチョウの幹や枝から新芽が出始めているのを上沢寺住職が確認し、6月に入ると葉の付近に実が付いているのも確認された。国の天然記念物を管理する文化庁文化財第2課によると、葉や実を付けたのは倒れたイチョウの根の一部が残っていた影響による可能性があると言い、その一方で、横倒しになったイチョウを動かすと残存している根を破損してしまう危険性があるため、イチョウを元通りに起こすことは出来ないという。 イチョウの復活を願い、倒伏した日から1日も欠かさず祈祷を続けてきた住職は、ご神木が願いに応えてくれたと喜び、台風のような災害に遭いながらも懸命に生きるイチョウの姿は、参拝者を勇気付ける存在であり、今後は横伏しの大イチョウとして人々に親しまれるのではないかと話し、樹齢750年の老木の復活劇に地元では大きな期待が寄せられている。 天然記念物指定石碑。 危険防止のため2019年7月の段階では山梨県及び身延町教育委員会によってバリケードが設置されている。 国道52号線上に設置された「さかさ銀杏」の看板。
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