台風による橋梁流失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 03:32 UTC 版)
「富士川橋梁 (東海道本線)」の記事における「台風による橋梁流失」の解説
1982年(昭和57年)8月2日未明に昭和57年台風第10号が渥美半島に上陸し、中部地方を縦断した。東海道本線では、8月1日16時頃から風雨が強くなり、風速と雨量に伴う運転規制が順次強化され、列車の徐行や運転停止が相次いだ。富士川においても、支流の早川(野呂川)において雨量が570ミリメートルと観測史上最高となり、静岡県内の北松野観測点では観測史上最大の毎秒14,400立方メートルの水量となった。こうした状況で、8月2日5時10分頃、下り線として供用されていた橋の、1889年(明治22年)に建設された第4橋脚が転倒してトラス桁2連が流失し、続いてその下流側に位置していた、当時は廃線となったまま存置されていた橋の1910年(明治43年)建設の第4橋脚が倒壊して、やはりトラス桁2連が流失した。 事後の調査では、下り線第4橋脚は元の姿のまま神戸方へ真横に転倒し、桁は下流側にやや離れて2連が分かれた形で横転していた。廃線第4橋脚は下流に約50メートル押し流され、桁は4連目が下り線の4連目の下に重なった状態となり、5連目は行方不明となったが河床に埋没したものと推定された。推定された倒壊状況としては、上流にあった堰堤が決壊して右岸側に傾いた水流が制水工にぶつかって反転して第3橋脚から第5橋脚の付近に集中し、特に洪水のピークでは第4橋脚付近の平均流速は毎秒8メートルにも達していた。このため基礎井筒が激しい洗掘を受けて支持地盤が削り取られ、まず下り線の方から倒壊に至ったものとされる。これにより生じた洗掘などのために、廃線の第4橋脚も倒壊した。
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