台本の原型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:48 UTC 版)
「ダフニスとクロエ (ラヴェル)」の記事における「台本の原型」の解説
原作であるロンゴスの物語は全4巻から成っており、バレエの台本は主に第1巻と第2巻に収められているエピソードを中心に、改変や省略を交えて作られている。第1巻からは、クロエの口づけをめぐるドルコンとダフニスの競い合いと海賊の襲来、第2巻からはクロエの誘拐とパン神による救出およびパンの笛の由来の説明が使われている。 ただし、第2巻でクロエが誘拐されるのは島の反対側に住むメーテュムナの人々との戦争によってであり、第1巻の海賊の襲来でダフニスが捕らえ、ドルコンが殺されることになっている。2つのエピソードを1つにまとめたことで、バレエの台本全体は「主人公の女性が誘拐されるが神の力で救われる」という筋書きになり、これは1876年に初演されたバレエ『シルヴィア』(ルイ・メラント(英語版)振付、レオ・ドリーブ作曲)と共通していることから、『シルヴィア』から影響を受けた可能性も指摘されている。 台本を構想したミハイル・フォーキンは、当初、現在の2倍の長さの台本を書いていたが、バレエの制作が本格的に始まった1909年にその後半部分がカットされて台本は現在のサイズになった。カットされた後半部分はダフニスとクロエの結婚に至るエピソードが中心であり原作の第4部から題材がとられている。その中では、2人がいずれも捨て子であり、それぞれが高貴な家柄の血筋であったことが明かされることになっていた。なお、ここでのラモンは原作どおりダフニスの養父としての設定である。また、短縮される前の台本では、ラモンの妻ミルタラ(Mirtala)、クロエの育ての父ドゥリアス(Drias)とその妻ナペー(Nape)、ダフニスの実の父である領主ディオニソファン(Dionisofan)とその妻クレアリスタ(Klearista)、幇間のグナフォン(Gnafon)、老いた牧人フィレタス(Filetas)といった人物の登場が予定されていたが、これらはいずれも最終的な台本からは削除された。
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