原発事故への備え
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 02:59 UTC 版)
万一の原発事故発生に備え、愛媛県では2013年6月に広域避難計画を策定している。2014年2月の見直し後、2015年6月に修正版が出された。計画では、伊方原発の西側となる佐田岬半島にいる住民は、国道197号線などを通って三崎港へ向かい、定期便の船舶の他、海上自衛隊や海上保安庁、事前に協定を結んでいる民間企業などの船舶も活用して避難することとなっている。しかし、悪天候などで船舶が使えない場合の代替方法が十分に検討されていないことなどが問題点として指摘されている。 2013年10月22日には「大地震により伊方原発で放射性物質が漏洩」との想定で、愛媛県による原子力防災訓練が行われた。愛媛県や周辺の地方公共団体と住民、四国電力、原子力規制委員会、自衛隊などの地方行政機関、その他の公共機関が参加して、原発から30km圏内にいる住民の安全確保のための大規模な訓練が実施された。その後、2015年11月8日・9日には、同様の事態を想定した国による原子力総合防災訓練が行われた。これは「伊方地域の緊急時対応」に基づいた避難計画の実効性を検証することも目的としており、四国電力、愛媛県の全市町村・大分県と大分市・山口県と上関町とその住民の他、首相官邸や内閣府などの中央機関も参加した。フェリーや海上自衛隊の船舶での愛媛県から大分県への避難訓練も行なったが、大分合同新聞が避難訓練の参加者にインタビューしたところ、「大地震で道路や港湾施設に問題が生じたら訓練時のようには避難できない」「高齢者の多い集落では移動も難しい」といった、実際の避難への不安を訴える参加者が多かったという。また、訓練後に愛媛県が参加者を対象に実施した行ったアンケートでも、約2割に当たる参加者から同様の回答が寄せられたという。 また、国の原子力災害対策指針に基づき、伊方町では伊方原発から半径5kmの範囲に住む町民約5300人(3歳以上)への安定ヨウ素剤の配布を進めている。2014年8月から集会場などでの配布が始まり、医師などが使用方法などを説明した上で町民に渡しているが、2015年11月現在、約3割の町民にまだ配布できていないという。2018年11月時点では、対象住民数5,008人に対し、配布者数3,520人である。 2017年、2018年、2019年の原子力防災訓練ではドローンを活用した訓練も実施された。 人工衛星から撮影した佐田岬半島とその周辺 国道197号の一部である佐田岬メロディーライン。道の駅伊方きらら館付近 道の駅伊方きらら館の屋上から見える伊方原発 三崎港 三崎港フェリーターミナル 国道197号線の海上区間となる国道九四フェリーの船舶
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