巻第三
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 14:02 UTC 版)
3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-1(第十九 葛の葉)葛の葉(くずのは) 「信田杜(しのだのもり)のくずの葉のことは稚児(おさなご)までも知る事なればここにいわず」(信田の森の葛の葉のはなしは幼い子供たちも知っているはなしなのでここには言わない) 3-2(第二十 芝右衛門狸)芝右衛門狸(しばえもんたぬき) 「淡路国に芝右衛門といへる古狸(ふるだぬき)あり竹田出雲(たけだいづも)芝居興行せし折から見物に来(きた)りて犬に食はれ死(しに)たり然れ共廿三日が間は姿をあらはさざりしとなり」(淡路の国に芝右衛門という古狸がいた。竹田出雲の芝居興行を見に行ったところ、犬に食われて死んでしまった。ところが、二十三日もの間、狸の姿に戻らないままでいたというのだ) 3-3(第二十一 波山)波山(ばさん) 「深薮(ふかやぶ)のうちに生じ常に口より火を吐(はき)て夜々(よよ)飛行(ひげう)すとぞ」(深い薮の中に生じて、常に口から火を吐いていて、夜な夜な飛んでいるという) 本文では婆娑々々(ばさばさ)とも呼ばれるとのことが記されている。 3-4(第二十二 帷子辻)かたびらが辻(かたびらがつじ) 「檀林皇后(だんりんくわうごう)の御尊骸を捨(すて)し故にや今こそ折ふしごとに女の死がい見へて犬烏などのくらうさまの見ゆるとぞいぶかしき事になん」(檀林皇后の御遺体を捨て置いた場所であるせいであろうか、今はときどき女の死骸が見えたりそれを犬や鳥が食い荒らす様子が見えたりすることがあるというが、いぶかしい事である) 3-5(第二十三 歯黒べったり)歯黒べったり(はぐろべったり) 「或人(あるひと)古き社(やしろ)の前を通りしにうつらかなる女の伏拝(ふしおがみ)み居たれば戯(たわふ)れ云(いひ)て過()すぎんとせしに彼(かの)女の振(ふり)むきたる顔を見れば目鼻なく口計(ばか)り大きくてげらげらと笑ひしかほ二目(ふため)と見るべきやうもなし」(ある人が古い社の前を通った時、美しい女が伏して拝んでいたので、少しからかってやろうと近寄ったところ、女は振り向いたのだが、見ればその顔には目鼻が無く、口だけがやけに大きくてゲラゲラと笑った顔は、二度と見られるようなものではなかった) 3-6 3-7 3-8 3-6(第二十四 赤ゑいの魚)赤ゑいの魚(あかえいのうお) 「この魚(うを)その身の尺(たけ)三里に余れり背に砂たまればをとさんと海上にうかべり其時(そのとき)船人(ふなびと)島なりと思ひ舟を寄(よす)れば水底(すいてい)にしずめり然る時は浪あらくして船是が為に破らる大海に多し」(この魚は体の大きさは3里(約12km)以上もある。背中に砂がたまるとそれを落とそうとして海上に浮かんでくる。その時に海上にいる船のりたちはこれを島と思って舟を寄せたりするがすると魚は沈んで行ってしまう。そのときには浪が荒くなりこれによって船は壊されてしまう。大海に多くある) 3-7(第二十五 船幽霊)船幽霊(ふなゆうれい) 「西海にいづるよし平家一門の死霊のなす所となんいひつたふ」(西海に出るという。平家一門の死霊たちが起こすものであると言い伝えられている) 3-8(第二十六 遺言幽霊 水乞幽霊)遺ごん幽霊 水乞ゆうれい(ゆいごんゆうれい みずごいゆうれい) 「遺言(ゆいごん)を得いわずまたは飢渇して死せし者は迷い出(いで)て水を乞(こひ)物悲しげに泣さけぶ事ぞあさましき」(遺言を言えなかったり、または飢えや渇きで死んだ者は迷って出て水を欲しがったり、ものがなしげに泣き叫んだりするという。あさましいことである)
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