区役所や各団体の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 22:21 UTC 版)
このカモの発見以来、東京都板橋区と北区の職員たちは、土曜・日曜返上で、大がかりな作戦を実施した。捕獲の専門である東京都猟友会、山階鳥類研究所、東京都の鳥獣保護係なども救出作戦に加わり、その総数は約70人に昇った。2月4日には板橋区環境保全課を中心として東京都、板橋区、北区による「カモ救出検討会」も結成され、山階鳥類研究所もこれに加わった。 板橋区では環境保全課が作戦の中心となり、課長以下37人の大半が連日、夜21時から23時ごろまで残業した。2月8日と9日には、10人ずつが徹夜か休憩室での仮眠で夜を明かし、午前3時から保護にあたった。広報課員1人もつき合った。ほかの課からも多くの職員が応援にかけつけ、猟友会員、北区職員と合わせて約50人が動員された。この疲労により、11日には大半の職員が欠勤した。北区環境保全課と河川公園課の職員も残業の連続で、8日と9日には職員4人ずつがほぼ徹夜した。台東区でも、2月7日は日曜日返上で環境保全課職員が出勤した。カモの保護成功後、板橋区環境保全課の職員からは一斉に拍手が沸き起こり、北区の職員たち共々「これでやっと休める」「これで、ゆっくり寝られる」と安堵した。 板橋区予算課によると、作戦に費やした費用は約300万円に昇り、そのうち約3分の1は職員の超過勤務手当で、残りは網の購入費、携帯電話、貸し布団代などという。北区財政課は、人件費と諸費用を合わせて百万円近くかかったとみている。 一方の上野動物園では、保護に成功した網は、もともと園内にあった漁網を改造したもので、同園は「保護のための費用はほとんどない」と話している。費用は職員の残業手当と餌代のみで、約10万円程度とみられている。前述の小宮輝之は、カモの保護に成功した姿が全国に報じられ、一躍「時の人」となった。 また、後述のように過熱する報道や世間の一方で、上野動物園の動物病院ではこのカモをほかの動物と区別することは一切なかった。記録上も「矢ガモ」ではなく単に「オナガガモ、矢が刺さっている」のみであった。カモの手術や看護を担当した上野動物園の動物病院長・田辺興記も「決してこのカモを特別視したわけではなく、ほかの傷ついた動物と同じ対応をしたにすぎない」と、あくまで獣医としての冷静な対応を貫いた。
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