分かっている原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 05:57 UTC 版)
「ケーララの赤い雨」の記事における「分かっている原因」の解説
インドの地球科学中央研究所(英語版)(CESS)は当初、赤い雨が降る原因を、大気中で流星が爆発し、1トンほどの粒子が飛び散ったためであるとの仮説を立てた。しかし数日後、粒子の顕微鏡画像が生物に似ており、一方で風の影響を受けたわけでも無いのに、流星の破片が成層圏から少しずつ降り注ぐとは考え辛いため、最初の説を取り下げた。採取されたサンプルは、熱帯植物園・研究所(Tropical Botanic Garden and Research Institute, TBGRI)が分析することになった。 2001年11月、インド政府科学技術省の委任を受けて、CESSとTBGRIは共同の研究報告書を提出した。それによると、赤い粒子は気生微細藻類(英語版)に属する地衣類の胞子であった。現地調査でも、同じ種類の地衣類が見つかった。つまり、赤い雨の正体は地元に生える地衣類と結論された。 2001年8月16日にも追加の現地調査が行われ、そこに生える木や岩、電柱などが気生微細藻類に覆われており、地域に赤い雨を降らすのに十分な量があることが判明した。気生微細藻類は緑藻植物門に属し、一般にはクロロフィルを含むため緑色であるが、オレンジ色のカロテノイドも持っている。これらは単独種で生活しているわけではなく、他の菌や苔、藍藻などと共生をしており、その影響で赤~オレンジ色となることがある。 報告書には、赤い色は隕石、火山、砂漠の砂、大気汚染に由来するものでは無いとも述べられている。結論として、ケーララに降った大量の雨により、付近の藻類が急成長し、大量の胞子が大気中に放出された可能性があると述べられた。ただしこれはあくまで可能性であり、それ以外の原因の可能性も高いとも書かれた。また、CESSはこの胞子が雨雲に取り込まれた理由については不明とし、今後の課題とされた。 シェフィールド大学のミルトン・ワインライトはチャンドラ・ウィクラマシンハ(英語版)と共に成層圏の胞子を研究し、CESS/TBGRIによる報告書を一部裏付けた。2006年3月、ワインライトは、粒子がサビキン目に属する菌類と似ていると述べ、この粒子が塵や砂、血のようなものではないとも述べた。
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