分かっているケース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 16:15 UTC 版)
「テイト予想 (代数幾何学)」の記事における「分かっているケース」の解説
因子(余次元 1 の代数的サイクル)に対するテイト予想は主要な未解決問題である。例えば、f: X → C を滑らかな射影曲面から有限体上の滑らかな射影曲線の上への射とする。関数体 k(C) 上の曲線である、f の generic fiber F は k(C) 上滑らかであるとしよう。すると X 上の因子に対するテイト予想は F のヤコビ多様体に対するバーチ・スウィンナートン=ダイアー予想と同値である。対照的に、任意の滑らかな複素射影多様体上の因子に対するホッジ予想は知られている(レフシェッツの(1,1)定理(英語版))。 おそらく知られている最も重要な場合はテイト予想はアーベル多様体上の因子に対して正しいということである。これは有限体上のアーベル多様体に対してはテイトの、数体上のアーベル多様体に対してはファルティングスの、定理である(モーデル予想のファルティングスの解の一部)。Zarhin はこれらの結果を任意の有限生成基礎体へと拡張した。アーベル多様体上の因子に対するテイト予想は、曲線の任意の積 C1 × ... × Cn 上の因子に対するテイト予想を含んでいる。 アーベル多様体上の因子に対する(分かっている)テイト予想はアーベル多様体の間の準同型についてのある強力な主張と同値である。すなわち、有限生成体 k 上の任意のアーベル多様体 A, B に対して、自然な写像 Hom ( A , B ) ⊗ Z Q l → Hom G ( H 1 ( A k s , Q l ) , H 1 ( B k s , Q l ) ) {\displaystyle {\text{Hom}}(A,B)\otimes _{\mathbf {Z} }\mathbf {Q} _{l}\rightarrow {\text{Hom}}_{G}(H_{1}(A_{k_{s}},\mathbf {Q} _{l}),H_{1}(B_{k_{s}},\mathbf {Q} _{l}))} は同型である。とくに、アーベル多様体 A はテイト加群(英語版) H1(Aks, Zl) 上のガロワ表現によってisogenyの違いを除いて決定される。 テイト予想は標数が 2 でない有限生成体上のK3曲面に対しても成り立つ。(曲面上、予想の非自明な部分は因子についてである。)標数 0 については、K3曲面に対するテイト予想は André と Tankeev によって証明された。標数が 2 でない有限体上のK3曲面に対しては、テイト予想は Nygaard, Ogus, Charles, Madapusi Pera, Maulik によって証明された。
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