処方数の分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 06:45 UTC 版)
日本における抗精神病薬の処方種類数(2013年中医協資料)外来入院1種類 38.70% 43.50% 2種類 18.90% 23.00% 3種類 21.90% 11.70% 4種類 5.70% 5.90% 5種類以上 8.20% 6.10% 無回答 15.60% 9.80% 3剤以上割合は外来26.8%、入院23.7% 1979年と1989年の調査では、統合失調症の患者に対して、抗精神病薬を1剤投与している症例が約22%、2〜3剤が60%前後、4剤以上は10%以下であった。しかし、1990年代には1剤が11.1%、2〜3剤が63.5%、4剤以上は12.8%と、増加傾向が認められた。1997年の気分障害の症例では、抗うつ薬のほかに、76%の症例が複数の睡眠薬、50%が複数の抗不安薬を処方されている。 2003年の、東アジアの共同研究である「抗精神病薬の処方についての国際比較研究」 では、抗精神病薬の一日投与量の平均値をクロルプロマジン換算で比較している。これによると中国が402.7 mg、台湾が472.1 mg、韓国が763.4 mgなのに対して、日本は実に1003.8 mgと飛びぬけて大量となっている。同時にこの研究では、併用薬剤数の最大値が中国5剤、台湾7剤、韓国7剤、日本は15剤と突出している。 2010年のPCP研究会会員を対象とした調査では、統合失調症の患者に対して、単剤処方は35.2%、2剤以上併用は64.8%であり、そのうち大量処方に該当する症例は30.7%であった。また、統合失調症の患者に対しては、抗パーキンソン薬(抗コリン薬)が58.6%、抗不安薬/睡眠薬77.5%、気分安定薬34.1%の患者に処方されている。 日本の30万件の診療データからの解析がある。2009年時点のデータで、また、精神科以外のケースも含んでいるが、次の通りである。 抗精神病薬:1剤70.0%、2剤21.5%、3剤以上8.5% 抗うつ薬:1剤65.3%、2剤25.8%、3剤7.2%、4剤以上1.7% 抗不安薬:1剤83.6%、2剤14.5%、3剤以上1.9% 睡眠薬:1剤72.7%、2剤21.2%、3剤以上6.1% 日本薬学会と埼玉県薬剤師会との共同研究によれば、複数レセプト間での重複処方が最も多いのは内科と整形外科の組み合わせであり、重複頻度の高い薬剤はエチゾラム、該当者の平均年齢は約70歳であった。その原因について研究者はエチゾラムが法律上の向精神薬に指定されていないことを挙げており、法の規制対象にすべきだと述べている。これは2016年、麻薬及び向精神薬取締法における第三種向精神薬に指定された。
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