再生産概念の拡張:教育における再生産、家族の再生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 23:23 UTC 版)
「再生産」の記事における「再生産概念の拡張:教育における再生産、家族の再生産」の解説
マルクス主義哲学者ルイ・アルチュセールによって、企業外で「生産諸条件の再生産」がなされ、イデオロギー的国家装置において「生産諸関係の再生産」がなされていることが暴力装置中心の国家論に対する「イデオロギー」に働きかける国家論の修正を伴ってなされた。同時期に、社会学者ピエール・ブルデューは、文化的恣意性が正統化されて、学校教師の教育学的権威と教育学的労働とにおいて文化的再生産と社会的再生産とがなされている学校システムを解析した。ラディカル・エコノミクス派のボールズとギンタスは親の収入・学歴と子供の就学との関係の再生産を分析した。これらは、経済学的な再生産概念を国家、社会へと拡張し、再生産概念を転移したもので、1970年以後、「再生産」論は世界的に教育分析において拡張されていく。ブルデューは、世襲的再生産から「能力の再生産」へ移行した歴史的な変化を「国家貴族」の登場において分析した。 山本哲士によれば、マルクス資本論の再生産様式を踏まえ、経済的再生産、社会的再生産、文化的再生産、を総合的に考察する必要が現代社会分析では要される、諸個人が、生徒・教師、医師、会社員、役人、親、主婦などの「社会的代行者social agents」として再生産され、社会規範を再生産し、商品経済・国家秩序を再生産している。その根本は<資本ー労働>の領有法則にあるというものだ。資本主義ではない、「資本経済」として商品再生産が再検証されている(「資本経済」については文化科学高等研究院出版局の記事も参照)。 また、reproductionは生物学的に「繁殖」「生殖」を意味する、マクファーレンは英国の恋愛・結婚・家族戦略を「再生産の歴史人類学」として実証した。ブルデューは、資本主義のハビトゥスや国家貴族において「結婚戦略」の再生産を論じている。
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