再構成されたニュース映画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 08:33 UTC 版)
「エドワード七世の戴冠式」の記事における「再構成されたニュース映画」の解説
映画史初期の作品は、現実の光景や行事、人物、風景、パフォーマンスなどをそのまま記録したアクチュアリティ映画(英語版)(実写映画とも)が主流だった。1896年のニコライ二世の戴冠式や、1897年のヴィクトリア女王の即位60周年記念式典(ダイヤモンド・ジュビリー(英語版))などの時事的な出来事も撮影されたが、これらはその出来事が行われる日に出向いて記録するという点で、映画の報道としての性格を備えるようになり、ニュース映画としてジャンル化された。こうした作品は、記録対象の出来事が起きた場所とは遠いところにいる観客たちに、歴史的出来事の実際の現場に立ち会っているような印象を与え、それはニュース映画、そして再構成されたニュース映画の発展を促した。 再構成されたニュース映画(actualité reconstituée)は、アクチュアリティ映画とは異なり、セットや役者を使って舞台上で、ある時事的な出来事を可能な限りリアリティを持たせながら劇的に再現した作品のことである。当時の映画ではセンセーショナルな出来事や天災、戦争、記念行事などが関心を集めやすい主題として求められていたが、再構成されたニュース映画は実際に現場に赴いて撮影する必要があるニュース映画よりも主題の選択の幅を広げることができた。メリエスも観客からのニュース映画の主題の要求が大きいことに注目したが、世界中にカメラマンを派遣して撮影するシステムを持ち得なかったため、1897年から再構成されたニュース映画を作るようになった。 再構成されたニュース映画の作品のいくつかは、観客に本物の映像だと思い込ませることを意図した偽物のニュース映画として作られた。しかし、メリエスの再構成されたニュース映画の場合は、本物の映像と偽って観客を騙すことを意図してはおらず、故意に再現した作品であることを明らかにしている。それにもかかわらず、一部の観客はメリエスの映画が本物であると思い、一部の興行者は本物と誤って宣伝したこともあったという。映画史研究者の小松弘によると、再構成されたニュース映画はフィクションとノンフィクションの中間に位置するものであるが、物語映画のシステム化が見られない初期の映画ではフィクションとノンフィクションの差異が明確ではなく、再構成されたニュース映画のジャンルもノンフィクションのニュース映画と同等に考えられていたという。
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