兼用機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 03:19 UTC 版)
第二次世界大戦までは上記の通り、急降下爆撃機と雷撃機はそれぞれ別の機体であった。しかし、艦載機数が限定される航空母艦では機種はできるだけ統一する必要があった。また、第二次世界大戦半ば頃から、艦船の防御力の増強に伴って従来の急降下爆撃機の搭載量では威力不足となりつつあり、一方で、雷撃機は対空砲火や戦闘機に対して脆弱である事が問題視され、より機敏な運動性が求められるようになっていた。その結果、両者に要求される性能に差が小さくなり、急降下爆撃兼雷撃機が、アメリカ海軍および日本海軍で開発された。 AD スカイレイダー(艦上攻撃機) 流星 銀河(分類は爆撃機であるが、流星同様に雷撃機(陸上攻撃機)と急降下爆撃機を兼ねる機体である) ほか、ドイツ空軍では比較的大型の爆撃機においても、急降下爆撃を行う性能の付加がなされたため、雷撃機と急降下爆撃機の兼務が可能であった。 流星は、一部が使用されたものの、実質的には両者ともに第二次世界大戦には間に合わなかった。ADは朝鮮戦争以降に使用されたが、魚雷を使用する機会は水豊ダムの堰堤に対して行った1度だけであった。その後は搭載兵器を無誘導爆弾やロケット弾に換え、攻撃機として用いられている。後のA-4 スカイホークやA-6 イントルーダー、A-7 コルセア II、F/A-18 ホーネットといった「艦上攻撃機」の流れにおける、最初の機体となった。 イギリス海軍は搭載機数が限られてしまう航空母艦の艦載機の効率を良くするため、戦闘機に雷撃機の機能を付加した戦闘雷撃機を開発配備した。元より急降下爆撃機は戦闘機を兼ねることも可能であるが、より大型の機体である雷撃機についても戦闘機を兼ねる仕様としたのは、イギリス海軍だけである。 ブラックバーン ファイアブランド ウェストランド ワイバーン これらの機体は直接の源流とはいえないが、いわゆるマルチロール機の先駆であると言える。 この他、雷撃戦闘機としては、ドイツがフォッケウルフ Fw190、イタリアがフィアットG.55を改造して試作したが、どちらもものにならなかった。
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