兼用スタジアム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:49 UTC 版)
アメリカ合衆国では、1965年にメジャーリーグ・ヒューストン・アストロズの本拠地として「世界初の全天候型屋根付き球場」リライアント・アストロドームが開場した。屋根付き球場建設の理由は、夏の暑さや蚊の大量発生から球場内を守り、快適な環境を確保するためだった。当時は「スタジアムに屋根を付ける」という発想そのものがあまりなかったので、アストロドームは「世界8番目の不思議」と呼ばれた。当初は屋外球場と同じ環境でプレーできるようにと太陽光を透過するアクリル屋根を設置したが、光が選手の目に入りプレーに支障をきたすことから、すぐに太陽光を通さない屋根に張り直した。この際、建設時から育てていた天然芝が光を遮られたことで生育がストップして枯れてしまったため、世界初の繊維による人工芝「アストロターフ」が開発された(詳細は人工芝の項を参照)。 当時は野球とアメリカンフットボールの兼用が可能なスタジアムの建設が流行していた。アストロドームもアメリカンフットボールとの兼用を前提に設計されており、開場した1965年の9月からヒューストン大学のホームとして使用されていた。1968年からはNFL・ヒューストン・オイラーズ(現・テネシー・タイタンズ)も本拠地として使用するようになった(ヒューストン大学は1997年まで、オイラーズは1996年まで使用)。以降、大リーグ本拠地のドーム球場として建設されたキングドーム(2000年に爆破解体)、ヒューバート・H・ハンフリー・メトロドーム(通称・メトロドーム)(2014年解体)、「世界初の可動式屋根付きスタジアム」であるロジャーズ・センター(旧称・スカイドーム、カナダトロント)は、いずれも野球とアメフト(若しくはカナディアンフットボール)兼用スタジアムとなった。1990年にフロリダ州セントピーターズバーグに完成したフロリダ・サンコースト・ドーム(現・トロピカーナ・フィールド)も、開場当初は各種スポーツ競技が開かれていた。(その後、タンパベイ・デビルレイズ(現・タンパベイ・レイズ)誘致をきっかけに野球専用ドーム球場に生まれ変わった。ただし、アリーナフットボール会場としては使用されている)。 モントリオールオリンピックスタジアムは、開場から11年後の1987年に収納が可能な吊り下げ方式の膜状屋根が追加されドーム球場となった。モントリオールオリンピックスタジアムもまたカナディアンフットボールとの兼用球場である。 2016年7月にミネソタ州ミネアポリスにNFLミネソタ・バイキングスの本拠地として完成したUSバンク・スタジアムはルーフ状の固定屋根を持つ屋内競技場であり、旧本拠地であるメトロドームと同様可動席を収納することによって野球の試合を行うことも可能である。当スタジアムでの最初の野球の試合は2017年2月24日午前6時に行われたアイオワ・セントラル・コミュニティカレッジとセンチュリー・カレッジの対戦であり、同日午後6時半よりミネソタ大学対シアトル大学の試合が開催された。他の兼用スタジアムとは異なり、土の部分はピッチャーズプレート周辺のみでありホームプレートを含むベース周辺も人工芝のままである。ミネソタ大学は2017年シーズンにこの試合を含め計13試合の野球の試合を行った。
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