債券格付けを指図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 03:36 UTC 版)
また、証取審報告書には取り上げられていない債券格付けにも触れておく。日本の債券格付制度は合衆国から輸入されたものであるが(日本公社債研究所)、本場での運用実態は投資顧問業務と密接に関係していた。 証券取引委員会をはじめとした行政機関は格付機関を固有の一業態として正面から規制ないし監督していない。証券取引委員会は規制・監督するとき法的根拠を投資助言業者法に求めている。格付機関の投資顧問としての業務に着目するわけであるが、したがって格付機関は登録と年次報告書の提出においてしか証券取引委員会から監督を受けないと指摘されている。他の行政機関も格付の単なる利用者である。その構造は1990年(平成2年)前後に確立された。 証券取引委員会は格付けを規制目的で利用するため、1975年にNRSRO(全国的に認められた統計格付機関)を選出するようになった。NRSROは国際決済銀行のように、投機的等級と判断した債券について、より高い自己資本を積むよう要求し、グローバルな株式の持ち合いに拍車をかけた。 こうした姿勢は信用格付機関改革法(Credit Rating Agency Reform Act of 2006)の成立まで続いた。不透明な審査でムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチ・レーティングスをNRSROとして認めてしまい、その後の新規参入を証券取引委員会は厳しく制限したので多くの批判を浴びた。エンロン事件やサブプライムローン危機でも業界の独占が主論点の一つとなった。NRSROがサブプライムローン、つまり不動産担保証券(MBS)を推奨していた。1984年にNRSROは上位2ランクの不動産担保関連証券の購入を銀行に認めて、MBSの発行額と市場流通性をにわかに上げた。1988年、労働省がエリサ法を改正し、A格以上のMBSに対する投資を退職年金運用ファンドに認めた。
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