俳優業に関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 11:16 UTC 版)
『悪名』の配役決定後、田中監督は田宮と連絡がつかなかった。実は、田宮は端役ばかりの役どころに悩み、映画界を引退し実業の道に進むつもりでいた。クランク・イン1週間前になってようやく大映京都撮影所へやって来た田宮は、出演を断るつもりでその旨を伝えたという。しかし、スタッフの説得で田宮は思い直し、映画の完成に至った。 『映画『華麗なる一族』』では、田宮は万俵鉄平役を望んだが撮影スケジュールの関係でかなわず、大蔵省のエリート役として出演した。本作の試写会の後で「僕ならもっとうまく猟銃自殺をやれるのに」と話していた。また、生前から自宅の居間で妻を前に「こうすれば死ねるんだ」と猟銃を抱き抱え足の指を引き金に掛けるまねをしていたことがあった。 テレビドラマ『白い巨塔』の放送が回を重ねるにつれ、財前五郎よりも人情味のある里見脩二の方が視聴者に支持されるようになったため、この事を不満に思った田宮は原作者の山崎豊子に「僕の役(財前五郎)がみんなから好かれるようにならないものですか……」と直談判していた。田宮のこの要望に山崎は「困るわよね」と苦笑していたという。 『悪名』シリーズで共演した勝新太郎は、田宮の演技について一切言及してこなかった。しかし長年共演のある中村玉緒によると、田宮の遺作となった1978年版『白い巨塔』の最終回で財前五郎が病死するシーンを見て「あの田宮は恐ろしい。玉緒、あの演技はすごいよ」と言い、田宮の演技を初めて褒めたという。玉緒もこのドラマで田宮と共演しているが、法廷シーン収録時の田宮について「いま考えると、割りにすっと座ってらした様な気もするし。それは役に入ってらしたのか、もっと悩みがあったのか。その辺は私、わかりませんね。圧巻でしたから」とインタビューで述べている。
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