便所使用知らせ灯と戸錠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:53 UTC 版)
列車便所の戸口には通常、一般建築の便所の個室同様に戸錠が装備されている。例外として、戸口に背を向け立ったまま利用される男性小便所では、戸錠なしの開き戸を使い、外から後頭部のみが見える小窓を設けて設備を簡略化する事例もある。 戸錠に連動して使用中か否かを戸口脇に表示する事例は古くからあったが、1951年に製造された国鉄の急行用客車スハ43系では、客室の乗客向けとして新たに「便所使用知らせ灯」が新採用された。便所の戸錠を施錠することで、戸錠に連動したスイッチにより客室内車端部壁面の知らせ灯が点灯する仕組みである。座席を立たずとも客室内から壁面の灯火を見て空き状況を確認できる利便性があり、便所使用知らせ灯はスハ43系以降、車両の客室の標準的装備となった。 現在新造されている車両では、車両客室内に時計や電光掲示板などとまとめて掲示され、旅客向け案内の一部として表示されている。近鉄21020系・名鉄2000系など車内案内表示装置に液晶モニターを使用している車両ではそこに表示されるようになっている。 施錠が不完全であると知らせ灯のスイッチも作動しないことがあり、扉の具合や戸錠ノブの形状によってはそのまま開扉可能になってしまう。列車便所は一般の便所に比べて走行音・機械音など列車特有の騒音によって内部の様子がわかりにくく、プライバシーや他の乗客に対するマナーの面からも利用者は施錠に注意する必要がある。また逆に、自力で解錠できなくなった急病人や子供が施錠状態の便所に閉じこめられたり、あるいは列車の振動で戸錠がひとりでに掛かってしまったりするなどの事例もあるが、このような事故では乗務員が専用の外鍵を用いて解錠する。 バリアフリー対応の列車トイレは電動式のドアが備えられているが、「閉」ボタンを押しただけでは施錠されないため必ず別にあるノブを回して施錠する。トイレ内にもその旨の注意書きがある。トイレ内部の「閉」ボタンを操作後施錠がない場合、音声で施錠を促すメッセージが流れる車両もある。駅や建物内に設置された多目的トイレでは「閉」ボタンを操作すると同時に施錠されるタイプが多いため注意を要する。
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