作戦統制権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 18:29 UTC 版)
朝鮮半島は、世界で唯一の国連軍の監視下にある地域である。韓国においては、有事の際は米韓連合司令部が戦時作戦統制権(wartime-OPCON)を行使して作戦を遂行する。1994年までは平時の作戦統制権も米韓連合司令部が掌握していた。 盧泰愚政権時代に、戦時における作戦統制権の移管要求が高まった。アメリカ合衆国連邦政府は当初、韓国軍にその能力がないと否定的であったが、反米左派的な盧武鉉大統領(当時)が「自主国防」を掲げて、戦時作戦統制権の返還を推進するにつれ積極姿勢に転じ、2006年10月の米韓定例安保協議会(SCM)において、2009年から2012年の間に返還することで合意に達し、2007年2月の米韓防衛首脳会談で2012年4月17日に委譲することで両国が合意した。 この移譲について、両国政府はともに問題ないと説明したが、歴代の陸軍参謀総長を含む一部の韓国軍関係者や専門家は国防能力に大きな問題が生じると指摘をしていた。この動きには、盧武鉉政権を筆頭として国民レベルで高まる反米感情や、それに起因したアメリカ軍訓練施設の不足などが影響していると言われた。 韓国政府が2008年に行った韓国陸軍士官学校新入生に対する意識調査では、韓国の敵対国家の第1位はアメリカ合衆国であるという回答が寄せられ、一般の新兵に対する調査結果では、75%が反米感情を表していた。 しかし李明博政権に移行し2度目の北朝鮮の核実験や天安沈没事件が相次いで発生すると、米軍主導の防衛体制の維持が必要として、2010年6月の米韓首脳会談で戦時作戦統制権の委譲を2015年12月1日まで延期させることを決定した。2014年10月にはさらに延期することを米韓は合意した。韓国国防相は2020年代半ばをめどにするとしている。
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