作品演奏の諸問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 07:30 UTC 版)
「フランツ・シューベルト」の記事における「作品演奏の諸問題」の解説
シューベルト作品の校訂は21世紀に入った現在でも簡単ではない。とくに「ヘアピン」ともよばれる特大のアクセントのような記号をどう解釈するかが問題になっている。小節間をまたぐようにヘアピンがわたっているものもある。これをデクレッシェンドと解釈するか、もしくはアクセントと解釈するかが問題となる。また、シューベルトは鋭いスタッカティシモのような縦線を使う(「未完成」の第2楽章)こともあり、19世紀の出版譜では通常のスタッカートに直されている。これも元に戻す動きが見られる。 シューベルトはMM表記を出版作品以外は全く行っていないため、演奏家によって解釈の開きが大きい。 ピアノ作品には、現代ピアノでは非常に難しいオクターブの連続が『さすらい人幻想曲』ほかで頻繁に現れるが、これは当時の軽いダブル・エスケープメント発案以前のシングル・アクションではオクターブ・グリッサンドが可能だったためである。親指と小指をアーチの形にして、横にスライドするだけでオクターブのレガートが達成できるが、ダブル・エスケープメントを含めたダブル・アクションを持ち鍵盤の深さが倍になった現代ピアノでは困難である。 ラテン語のミサ曲では6曲すべてで典礼文の一部が欠落しているが、これも理由がわかっていない。典礼文の写しを所持しておりそれに誤脱があったという見解が一般的だが、聖歌隊で数多くのミサ曲を歌ってきたシューベルトが、クレドでのカトリック教会の信仰の本質的な部分の欠如に気づかなかったという説には無理があると思われる。おそらく自身はプロテスタント教会やカトリック教会に対して一線を引いたキリスト教信者という意味で、あえて削除したという説を唱える学者もいる。
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